AUDREY実用化の目途、今後の課題は?

現時点で、米国におけるAUDREYを生かした装備の現場導入時期は15年以内と予定している。だが、変容する現場活動する消防士達は、常に命の危険がある中で、瞬時に活動を判断し、行動しなければならない過酷な現場であることから、早急な開発が求められている。

開発の課題として挙げられているのは次の通り。

・AUDREYからの情報の過負荷や遅延は活動に大きな支障を来すため、いかにその瞬間の消防士や指揮者の判断に適した安全活動情報をピンポイントに与えることができるか?

・AUDREYへは、特定利用者が認証システムを通じて、スマートフォンやインターネットからもアクセス可能であるが、911同時多発テロ等レベルの大規模災害発生時などは、どのようにして、特定の消防士に無線から家族へ無事をテレビ電話で伝えたり、家族からの励ましなどを得ることができるか?

・電波障害や停電、過大な電磁波の影響などでAUDREYへアクセスできない場合、どのようにして、現場活動中の消防士の安全を守るか?

・AUDREYに蓄積される現場活動データの共有範囲と情報管理責任体制、テロリストからの悪用リスク対策など、セキュリティーシステムをどう構築するのか?

・AUDREYのメンテナンス、共有コストはどのように分散されることが望ましいのか?出動回数と活用頻度、情報重要度、規模によって、または、関係なく一律。

・警察、軍隊、沿岸警備隊など活動環境が重なる関係機関との災害現場情報共有範囲をどう判断するのか?


日本が将来的にAUDREYの情報を共有する時代が来るのかはわからないが、日本の技術の叡智を結集して、AUDREYに対抗し、日本版は「AMIDA(阿弥陀)」などの名称で、日本国民の命を守る消防士のための人工知能を開発してはいかがかと思う。

ただ、いずれ、消防活動に特化した人工知能を育てるとしたら、今のうちにインプットするための災害映像や火災防御活動シーンなどをボディーカメラやヘルメットカメラ等で録画して、消防活動アーカイブとして整理しておかなければ、間に合わないと思う。

アメリカのように10年先くらいまでの消防マスタープランを作って、将来的な計画をしっかり作っておくことで、未来の消防士達にしっかりとした安全の仕組みを手渡せるような気がする。

(了)