2018/12/18
防災オヤジーズくま隊長の「知らないとキケンな知識」
火災の煙成分を分解してみよう
では一体、煙の何が人を死に至らしめるのでしょうか。また、そんな危険な煙を防ぐ手立てはあるのでしょうか。
まずは、火災の煙(燃焼生成物)の正体を大まかに分類してみましょう。
(2)煤(=ハイドロカーボン、不完全燃焼により大量に発生する、黒煙)
(3)塵、ほこりなどの粉じん
(4)有毒ガス
(1)水蒸気は、それ自体には毒性は有りません。しかし、やかんでお湯を沸かした時などの水蒸気と違い、火災現場の消火放水によって発生する水蒸気(白煙)には、不純物が多く含まれています。また、高温であれば吸入とほぼ同時に気道に火傷(やけど)を負います。温度80℃以上では呼吸できなくなり、窒息(死)する恐れがあります。
ちなみに、一般的なサウナ(ドライ)は100℃でも呼吸できますが、ミストサウナ(蒸気サウナ)では70℃弱が限界です。私が足繁く通う銭湯にある蒸気サウナで実体験したところ、70℃で呼吸が大変困難となりました(JR小岩駅から徒歩10分【軟水風呂 友の湯】https://www.tomonoyu.tokyo/)。
また通常のサウナ室内は空気の流れがほとんどありませんが、火災現場では強い気流が発生しますので、熱量(cal)は数倍に跳ね上がります。
(2)煤(すす)や(3)大量の塵(ちり)ほこりは、肺を詰まらせ、窒息の危険を引き起こします。
(2)(3)はすべて0.2~1.5μm(マイクロメートル)程度の目に見える大きさの粒子です。大量に発生した成分に光が当たると小さいものは白煙に、大きいものは光を遮り黒い煙に見えます。
これらの大きさの粒子から呼吸を守る方法は2通りあります。1つ目は、汚染された外気を遮断して綺麗な空気を供給する方法(空気呼吸器)。2つ目は、有毒な粒子を物理的に捕捉するフィルターを通して呼吸をする方法(防塵マスク)です。N95クラスのフィルターマスクでも十分に効果はありますし、防塵マスクが調達できなければ、ガーゼ・ハンカチやタオルで、ある程度代用できます。ただし後述するように、上記のマスクや代用の布生地類でも、有毒ガスは通過してしまいます。
ちなみに、タオルなどざっくり編んだ布の場合は、一度水に濡らしてからきつく絞ると、煤状の大きな粒子を捕捉しやすくなります。このときに気をつけたいのは、ハンカチ・ガーゼなど細い繊維で目の詰まった布は、水に濡らさないということです。水に濡らすと繊維の目に水膜が生じ、通気ができなくなりますので、窒息のリスクが上がります。
さて、上記(1)~(3)の生成物だけならそれほど怖くはないのですが、一番致死率が高いのが、(4)の有毒ガスです。
防災オヤジーズくま隊長の「知らないとキケンな知識」の他の記事
- 第7回 相次ぐ建設現場における火災
- 第6回 なぜ戸建住宅火災で死亡するのか
- 第5回 火災による死亡原因のほとんどは「煙」にあった
- 第4回 知ってましたか?消火栓は誰でも使えます!
- 第3回 消火器で火災は消せません!
おすすめ記事
-
-
火事・水害の被災設備に復旧という選択肢
災害復旧専門サービスのベルフォアジャパンは昨年、独自営業による顧客開拓に乗り出しました。これまでは共同出資者の東京海上日動火災保険を窓口としてきましたが、体制変更を機に直接の市場アプローチを開始。BCPの実効性を確保する手段として自社のサービスを訴求する考えです。代表取締役社長の加藤道久氏に今後の市場戦略を聞きました。
2026/03/18
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/03/17
-
-
余計な情報をつながない安否確認システム
安否確認システム「オクレンジャー」は2006 年に提供を開始したサービス。災害時の初動に欠かせないアプリとして広く認知され、累計ユーザー数260 万を突破した。開発元のパスカルは地域のSIerとして、防災分野以外でもビジネスの高度化に貢献する。社長の井上隆氏に、創業以来の事業コンセプトと今後の展望を聞いた。
2026/03/11
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2026/03/05
-
ネット風評被害を叩き企業の信頼を守る
ネット社会の「カイシャの病院」として企業の風評被害を治療・予防するソルナは昨年7月、代表交代をともなう事業承継を行いました。創業者の三澤和則氏が代表取締役を退任し、新たに安宅祐樹氏が就任。これまでのサービス価値をさらに高め、企業の信頼の基盤を保全していく構えです。新社長の安宅氏に事業承継の経緯と今後の展望を聞きました。
2026/03/02
-






※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方