2019/01/17
防災・危機管理ニュース
経済のグローバル化により、サプライチェーンが世界各地に広がる中で、日本企業においても、海外の指標と整合性のとれたサイバーセキュリティ対策が求められている。日本企業のサイバーセキュリティ対策の現状や今後の展望について、デル・テクノロジーズグループでサイバーセキュリティ事業を担うRSAのアジア太平洋・日本担当チーフサイバーセキュリティアドバイザー、レナード・クレインマン氏に聞いた。
Q:世界的にみて、ITセキュリティの面で日本企業はどれだけ成熟していると感じていますか?
クレインマン氏(以下K): 国連機関である国際電気通信連合(ITU)の2017年7月の報告書によれば、サイバーセキュリティの取り組みを比較すると、全世界134カ国のうち日本は第11位。データを見る限り、世界の中で日本が悪い位置にいるとは思えません。
■「Global Cybersecurity Index」(出典:国際電気通信連合(ITU))
https://www.itu.int/pub/D-STR-GCI.01-2017
私の印象としては、国ごとのレベル差より、国の中で産業や企業規模によって様々なレベル差がある、というのが一般的です。どの国でも、軍需産業や金融産業ではITセキュリティが非常に高いレベルにあり、他の産業がそれを追いかけている、という構造があります。
Q:日本企業においてITセキュリティ対策の傾向はありますか?
K:今回(2018年11月)の日本滞在中に、サイバーセキュリティについて様々な日本企業の経営者やセキュリティ担当者と対話をしました。その経験を通じて感じたのは、多くの企業担当者がサイバーセキュリティにおいて「(未然)防御」という点を重視しているということです。ですがその先の「検知」「対応」「復旧」が足りていない。そうした内向きな観点は、日本の文化的な背景もあるのかもしれません。
企業にとって大きな損害を及ぼす事故の前には、必ずその前兆となる小さなインシデントが起こります。この小さなインシデントを発見し対処することは、決して悪いことではなく、むしろ新たな学びを得る素晴らしいチャンスと捉えることもできます。インシデントに学ぶ、という姿勢を持つことが重要です。
ただ直近数年では日本も改善が進んでいます。例えば政府間では、日本はシンガポール(2017年9月)やインド(2018年10月)と覚書を締結しました。これにより両政府が協力して、サイバーセキュリティの脅威から人々を守る国際的コミュニティをつくるというアプローチが生まれてきています。
- keyword
- サイバーセキュリティ
- RSA
- インタビュー
- NIST SP800-171
- デル
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月23日配信アーカイブ】
【4月23日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:南海トラフ地震臨時情報を想定した訓練手法
2024/04/23
-
-
-
2023年防災・BCP・リスクマネジメント事例集【永久保存版】
リスク対策.comは、PDF媒体「月刊BCPリーダーズ」2023年1月号~12月号に掲載した企業事例記事を抜粋し、テーマ別にまとめました。合計16社の取り組みを読むことができます。さまざまな業種・規模の企業事例は、防災・BCP、リスクマネジメントの実践イメージをつかむうえで有効。自社の学びや振り返り、改善にお役立てください。
2024/04/22
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月16日配信アーカイブ】
【4月16日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:熊本地震におけるBCP
2024/04/16
-
調達先の分散化で製造停止を回避
2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町。オフィス家具を製造するホリグチは真備町内でも高台に立地するため、工場と事務所は無事だった。しかし通信と物流がストップ。事業を続けるため工夫を重ねた。その後、被災経験から保険を見直し、調達先も分散化。おかげで2023年5月には調達先で事故が起き仕入れがストップするも、代替先からの仕入れで解決した。
2024/04/16
-
工場が吹き飛ぶ爆発被害からの再起動
2018年の西日本豪雨で隣接するアルミ工場が爆発し、施設の一部が吹き飛ぶなど壊滅的な被害を受けた川上鉄工所。新たな設備の調達に苦労するも、8カ月後に工場の再稼働を果たす。その後、BCPの策定に取り組んだ。事業継続で最大の障害は金属の加温設備。浸水したら工場はストップする。同社は対策に動き出している。
2024/04/15
-
動きやすい対策本部のディテールを随所に
1971年にから、、50年以上にわたり首都圏の流通を支えてきた東京流通センター。物流の要としての機能だけではなく、オフィスビルやイベントホールも備える。2017年、2023年には免震装置を導入した最新の物流ビルを竣工。同社は防災対策だけではなく、BCMにも力を入れている。
2024/04/12
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方