2016/11/22
事例から学ぶ
電気、ガス、水道、通信などのライフラインに続き、被災時に重要になるのが、食品や日用生活品を販売するスーパーやコンビニエンスストアの存在だ。店舗の営業継続は被災地域に食料をはじめとした生活必需品を届けるだけでなく、安心をもたらす。東日本大震災後のローソンの取り組みを取材した。
編集部注:この記事は「リスク対策.com」本誌2011年11月25日号(Vol.44)掲載の連載を、Web記事として再掲したものです。役職などは当時のままです。(2016年11月22日)
■1日4回の定例会議
ローソンでは3月11日の東日本大震災の発災4分後に災害対策本部を設置し情報収集を開始した。同社は震度5強以上の地震が国内で発生した場合、災害対策メンバーが自動参集することになっている。ほぼ同時に、東北支社と関東支社でも災害対策本部を立ち上げ、本社と支社の災害対策本部をテレビ会議システムで結び、常に情報が共有できる体制を整えた。発災当初8日間は、毎日8時、10時、14時、18時と1日4回の緊急対策会議を開催(8日目からは10時と18時の2回開催)し、その都度、社員や加盟店のオーナー・スタッフの安否の状況、店舗の被災状況、物流センターや弁当・調理パンなどを製造するベンダーの稼働状況などを確認した。
本部では商品の供給体制を確認すると、直ちに、営業可能な東北地方へ全国の工場から商品を供給する方針を決定した。
被災店舗の安否は、各店のスーパーバイザー(SV=経営指導員)が最終確認することになっている。1人のSVが受け持つ店舗数は平均8店舗。各店舗の停電の状況などは本部で確認できるが、実際の被災状況は、現地のオーナーと直接連絡を取るか、あるいは現地まで行かないと分からないため、SVが1店1店、車でまわったという。本部からは応援要員として100名を現地に派遣することを決め、12日から数回にわたり現地に応援要員を送り込んでいる。
事例から学ぶの他の記事
おすすめ記事
-
-
なぜコンプライアンスの方向性はズレてしまったのか?
企業の不正・不祥事が発覚するたび「コンプライアンスが機能していない」といわれますが、コンプライアンス自体が弱まっているわけではなく、むしろ「うっとうしい」「窮屈だ」と、その圧力は強まっているようです。このギャップはなぜなのか。ネットコミュニケーションなどから現代社会の問題を研究する成蹊大学文学部の伊藤昌亮教授とともに考えました。
2024/10/10
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/10/08
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/10/05
-
-
-
-
-
ERMにおける実行性の強化
企業は、リスクに対する組織の適切な行動を管理するためにオペレーショナルリスクとコンダクトリスクといったリスクカテゴリーを設定し管理を実施していることが多い。オペレーショナルリスク管理は、過去の操業上の失敗事例を分析して同種の事例の再発を予防するための管理である。換言すれば、過去・現在の状況を踏まえ、それを将来に延長して対応するフォワードルッキングなアプローチの一種といえる。他方、コンダクトリスク管理は、将来の環境が必ずしも過去と同様ではないことも踏まえ、組織行動の特徴を理解した上で、組織行動を律する根底の部分(組織文化と表現することもある)を意識して、不測の事態を招かないための制御を行う活動といえる。
2024/09/25
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方