ニューヨーク市消防学校では優れた教育が行われる(出典:Flickr)

2018年、4つの消防学校と4つの消防職員有志による自主勉強会、3つの消防本部にて、計約2000名の消防士や消防団員の方々に「消防リスクマネージメント」「これからの消防に必要な準備と対策」というタイトルで、消防業務上のさまざまなリスクをいかに回避し、現場における事故予防や殉職予防を既存の仕組みの中で具体的に何をするべきか?を講演させていただいた。

各講演の最後に20分ほど質疑応答の時間を設けるが、そのときにほぼ確実に聞かれることは、「日本とアメリカの消防の違いについて」である。

22年間、アメリカに住んでいて、海外派遣研修コーディネーターや雑誌の取材サポート等、さまざまな形でアメリカ各州の消防局を尋ねたが、どこの消防署にいっても感じたことは「家族愛」であった。

下記のビデオは予算削減のために消防署を閉鎖し、新しい場所に移設したニューヨーク市消防局のスクアッド252の消防士たちの物語。ニューヨーク市消防学校での訓練カリキュラムの一部や消防署での待機時間にどのようなメンテナンスや話し合いのほか、火災のみで無くテロ対策なども含めた広範囲な現場対応を想定した部分訓練を行っているか、また訓練後には先輩後輩が食事を作りながら、和気あいあいとキッチントークするステーションライフが描かれている。

FDNY SOC UNIT'S POST 911(出典:YouTube、画面を2度クリックしYouTubeサイト上でのみ再生可能)

特にニューヨーク市消防学校の教官が、入校日の朝一番に初任科生に話す「FDNYの消防士とは」 の内容は有名だ。実際にブルックリンのSquad 252のキャプテンとして、数々の過酷な現場を体験し、目の前で仲間を失ったり、要救助者を助けきれなかったり、出勤して2度と家に帰れなくなる日が来るかもしれないなど世界の消防士に通じる消防士としての生き様を示す。何度聴いても身が引き締まる言葉が多く、初心に戻ることができる。