白に白は透けやすい

色についての話題がでたので、色指定について。セーター・カーディガンなどの色指定はよくお聞きします。

「セーターは、紺はOK。白やベージュは不可」

など、白やベージュは境界事例のようです。

でも、これはないでしょうと思うのは、下着の色指定です。

「下着の色は白とする」

セーターで白はダメとするところでも、下着は白にすべしというものがあったりします。

そもそも学校が下着の色に口を出す事自体がセクハラっぽくて気持ちが悪いです。会社でこれをやったら社会的に問題になることは必須です。それなのに学校では許されるのが不思議です。でも、首都圏では結構あるのです。この下着が白っていう校則が。で、学校があげる理由は、こうでした。

「白以外の下着は透けて見えるので不可」

白ならばブラウスから透けないので、白に指定というのが主な理由です。ところがです。どの色が透けやすいのかを東京都板橋区議の五十嵐やす子さんが実験された写真がこちら。

板橋区では、下着についての何らかの決まりがある学校が22校中12校、そのうち下着を白とする学校は6校あるので、この実験をされたそうです。

色見本に

(提供:五十嵐やす子・板橋区議)

ブラウスに見立てて白い布をかぶせると

 

白の方が透ける!!

下着を白にした方が透けて見えることがわかりました。むしろ赤のほうが透けて見えないくらいです。

でも、これはあたりまえの現象でもあるのです。中学1年では、光の性質を習い、その中で色の見え方も学習します。

色というのは、光が反射しているわけですが、赤色が赤く見えるのは、赤以外の色を吸収して、赤だけ反射しているからです。

白という色はどうやって見えているかというと、光を吸収しないですべて反射しているのです。これは、中1で習います。


中1理科 光の性質

光をすべて反射する白なのだから、白の下着の上に白の ブラウスを着ても、素材が違う白どうしがそれぞれ微妙に異なる反射率ながらも、白であるがゆえに光をすべて反射して白として見えています。光を吸収する色よりも、反射する白だから際立って透けて見えやすいことは、中1で理解できるはずなのです。さらに厳密には、異なる物質である白色の服と空気の接触面で光の屈折も起こり、光はさらに乱反射されて白にみえています。白だからこそ、よく見えるということになりますよね。

学校で科学として色の見え方を教えているのに、校則では科学に基づかない情報で禁止してしまっているとすれば、それは教育といえるのでしょうか?例えば、すでに否定されている「地震雲」がいまだに防災情報として話題になってしまう現象などは、科学よりも、主観や思い込みを校則としてまで伝えてしまっている学校教育の負の側面も原因にあるのではと思ったりもします。