2019/05/07
企業をむしばむリスクとその対策
□対策:福利厚生や健康配慮がポイント
この4月に新入社員を迎えた企業・団体は多いと思います。昨今の「超売手市場」の中において、彼ら・彼女らはどうして皆さんの企業・団体に入社を決めたのでしょうか?
経済産業省が2017年に実施した「健康経営と労働市場の関係性調査」の中に、就職活動中の学生に対し「将来どのような企業に就職したいか?」を聞いたアンケートがあります。そこで上位を占めた答えは、①福利厚生が充実している(44.2%)、②従業員の健康や生き方に配慮している(43.8%)、③企業理念・使命に共感できる(38.1%)でした。これまで人気企業の条件と思われていた「給与水準が高い」(23.1%)、「知名度が高い」(10.9%)を大きく引き離した結果でした。このあたりに「増えている労働力人口の確保」につながる答えが潜んでいるかもしれません。
数年前から、経済産業省では、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる企業を「健康経営優良法人」として認定を行っています。また、厚生労働省でも従業員の健康やメンタルヘルスの保持・増進についての実践を行い、一定の水準に達した企業を認定・公表する「安全衛生優良企業公表制度(通称:ホワイトマーク)」を実施しています。実は、これらの制度を活用することで、認知度が向上し、就活生が大幅に増加したり、内定後辞退率が減ったりしたなど、人材の囲い込みに成功した企業があります。人材確保を単なる「採用」の問題として捉えず、「自社の職場環境の改善」として考えれば、行うべき対策がさらにいくつか出てくるのではないでしょうか。
なお、事例にあった企業では、この4月から施行の「改正入管法」で新設された「特定技能」という外国人在留資格に該当する業種(建設業や介護など14業種)でもあり、外国人労働者の活用も対策の1つになり得ます。この改正入管法の施行に対してはさまざまな議論や多くの問題点も指摘されていますが、少なくとも14業種に該当する企業では、自社での採用の可否に関わらず、制度やスキームの検討はしておくべきでしょう。この4月から在留資格「特定技能1号」を取得するのに必要な「相当レベルの技能」の有無を判定する技能試験が順次開始されました。宿泊業、介護業、外食業の3業種の技能試験が4月に行われ、10月には飲食料品製造業の技能試験が実施されます。また本年秋以降にはビルクリーニング業の技能試験が実施される予定です。※14業種のうち残りの9業種に関する技能試験については、2019年中または2019年度内に行う予定となっています(法務省)。
今回のリスク:主に経営層・管理職が注意すべき戦略リスク
(了)
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