2019/05/10
セキュリティ文化の醸成と意識の高度化 ~2020年に向けて私たちにできること~
緊急事態における判断力
追いかけてきた犬が狂犬病にかかっていたのかどうかは見た目ではわかりませんでしたが、インドの犬は狂犬病の罹患率が多いとの情報が頭にあったのでとにかく逃げました。でも、もしバイクのおじさんが完ぺきに悪い感じの人に見えていたら、私は瞬時にバイクに乗れたでしょうか?もしかしたら、犬が狂犬病ではないかもしれないという希望的観測のもと、バイクには乗らず犬にかまれる方を選んだかもしれません。
可能性は4通り、私はおじさんを信用してバイクに乗り、結果、犬からは逃げることに成功しました。私を助けにきてくれたおじさんは普通の良いインド人で、彼のおかげで助かったのですが、見ず知らずの人のバイクに乗ることは通常ありえません。もし、良いおじさんではなかったら、そのままバイクで連れ去られるという可能性もありましたよね。
そのエリアの安全度は、自分で調査し、自身の経験と知識を総動員して判断をくだすことで初めて量れるのです。セキュリティ担当としては情けないのですが、現地のドライバーの話や、車を降りた現場の雰囲気によって「安全そうだ」と主観的に判断した結果、こうした事態を招くことになりました。犬は私を見てダッシュしてきたので、現地の人々にとっては平気な場所が外国人である私にとっても平気な場所であるとは限らないということを学びました。そして自分自身が巻き込まれた緊急事態においては、瞬時に適切に判断をすることがどれほど難しいかということを経験しました。今こうして生きているので、その時の判断はベストだったのだと思います。いえ、今回もラッキーだったという方が適切でしょう。
ビッグイベントには様々な想定外がつきものです。今年、来年と日本では多くのビッグイベントが続きます。想定外の事態に自分が巻き込まれたら…と、日々考え、瞬時に最善策を導き出すための訓練が自分の身を守るために重要なのです。
この一件以降、私は治安情報や安全対策については自身の目と耳と足で確認をするくせがつきました。読者の皆さまも、セキュリティに関してはうわさや人づて、メディアやネット任せにしないようにしてください。自分の身を守ることができるのは自分だけなのですから。
(了)
- keyword
- セキュリティ文化の醸成と意識の高度化
- インド
- 狂犬病
セキュリティ文化の醸成と意識の高度化 ~2020年に向けて私たちにできること~の他の記事
- ダメなものはダメ、伊丹のナイフ騒動
- 危険人物抑止にバックグラウンドチェック
- バックグラウンドチェックで危険関係者排除
- 緊急事態に遭遇(2)病気の単語
- 緊急事態に遭遇、その時あなたの判断は
おすすめ記事
-
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/10/28
-
-
-
-
-
月刊BCPリーダーズ2025年上半期事例集【永久保存版】
リスク対策.comは「月刊BCPリーダーズダイジェスト2025年上半期事例集」を発行しました。防災・BCP、リスクマネジメントに取り組む12社の事例を紹介しています。危機管理の実践イメージをつかむため、また昨今のリスク対策の動向をつかむための情報源としてお役立てください。
2025/10/24
-
-
「防災といえば応用地質」。リスクを可視化し災害に強い社会に貢献
地盤調査最大手の応用地質は、創業以来のミッションに位置付けてきた自然災害の軽減に向けてビジネス領域を拡大。保有するデータと専門知見にデジタル技術を組み合わせ、災害リスクを可視化して防災・BCPのあらゆる領域・フェーズをサポートします。天野洋文社長に今後の事業戦略を聞きました。
2025/10/20








※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方