2016/05/24
誌面情報 vol55
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災害時に力になれる会社に安否確認をフル活用
東京城西地区を中心に公共施設から商業ビル、マンションなどの建築を幅広く手がける興建社。施工の難しいデザイン性の高い建造物や寺院なども建築できるのが同社の強みだ。その興建社では昨年の4月にBCPの策定を開始した。BCPの一貫として導入したのがサイボウズスタートアップスの安否確認システムだ。
1946年に東京都・杉並区で創業した興建社。東京城西地区を中心に、現在では建物の建築や修繕、改修など年間約650件を手がける従業員90人の中小企業だ。同社はこの4月に安否確認システムを導入した。昨年の4月から策定を始めたBCPの一貫だ。
興建社はこれまで、安否確認に電話を使っていた。しかし、東日本大震災のときに携帯電話が不通で固定電話もしばらく通じず、公衆電話まで走り各建設現場の従業員と連絡をとった。翌日には全従業員の安否を確認できたというが、代表取締役社長の水島隆明氏は「首都直下地震が起こると電話連絡すら難しい。だから安否確認システムの導入を考えました」と語る。
比較検討したのはサイボウズスタートアップスを含めて3社。発災時に本社ビルもダメージを受ける想定をすると、別の場所でもスマートフォンやパソコンを使い集計情報などを確認できるクラウドシステムは必須だった。さらに、使いやすいデザインと自由に設定できる確認項目、負担の少ない価格とサービスの信頼性を評価してサイボウズスタートアップスの安否確認システムの採用を決めた。
契約したのは従業員だけではなく家族も利用できるファミリープラン。「日頃利用しない災害用伝言ダイヤルを災害時に使うのは難しい。登録の強制はしません。会社として従業員の家族、ひとりにでも役に立つなら十分との考えからです」と水島氏は説明する。
興建社はこの安否確認システムをフル活用する。1つは被害情報の集約だ。現場の被害写真だけでなく災害時の点検表に記入した後にそれも撮影し、画像を安否確認システムに送信する。現場で電気がとまりFAXが使えなくとも確実かつ正確に状況を伝えられる。
もう1つは協力会社との通信確保に使う。東日本大震災の際には、天井が落ちた現場に興建社の従業員がかけつけ、すぐに落下防止策を施した。建設会社は大震災などの発災時には緊急の安全確認と応急的な対応を要請されるが、災害の規模が大きくなると1社では対応できない。同社を中心とした組織「歳友会」に参加する64の協力会社に登録を依頼し、災害時には連携して対応する予定だ。「建物の安全を守るのも大切な仕事です。東京で地震が発生したら、より多くの現場で素早く対応できるようしたい」と水島氏は語る。
総務部経理課長の岩崎篤弥氏は「安否確認だけに使うのはもったいないシステムです。掲示板機能などをうまく使って災害対策に生かしたい」と話す。
導入から約1カ月で9割の従業員の登録は完了した。同社では平時からサイボウズのグループウェアを使っていることもあり、抵抗なくスムーズに操作できるという。5月には安否確認の訓練を実施し、本格運用を進めていくとしている。
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