2016/05/24
誌面情報 vol55
廃棄物リスクが会社を危機に陥れる
Q. 排出者責任を全うするというのはどのような意味ですか?
いくつか細かなことが決められているが、一番見落としてはいけない点に、処理施設を定期的に視察に行って、約束どおりの処理がされているのか、リサイクルがされているのかということを確認することが必要とされている。
Q. 食品以外でも、過去に廃棄物の不正処理を行った事件は多く起きています。
その通りだ。例えば、1999年に発覚した青森・岩手県境の不法投棄事件を挙げることができる。109万㎥、東京ドーム約1杯分の廃棄物が青森県と岩手県県境の山奥に捨てられていた。この事件は埼玉県の業者と青森県の業者が結託をして引き起こしたものだが、埼玉県の業者が首都圏の企業の廃棄物を大量に集めていた。事件が発覚した時には約1万2000社の排出事業者が特定され、その中には有名な企業も何社もあり、すべてインターネット上で名前が公開された。企業にとっては寝耳に水で、埼玉の業者と契約を交わし廃棄物の処理費用をしっかり払ってお願いしているにもかかわらず、こうした問題に巻き込まれてしまった。
処理に要した費用は、廃棄物を出した量に応じて費用分担させることになったが、多いところでは6000万円を超える企業もあったという。信用失墜で株価が落ち、企業のイメージまで落ちてしまったケースもあっただろう。
昭和45年に廃棄物処理法が制定されて以降に起きた廃棄物の不法投棄に関する事件を列挙してみると、頻繁にこうした事件が起きていることが改めてよくわかる。そして、事件が起きた後に法改正が追いかけるように行われている。ところが、どれだけ法改正をして厳格化をしていったとしても、こうした事件は後を絶たない。
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