2016/05/24
誌面情報 vol55
廃棄物リスクが会社を危機に陥れる
Q. それほど頻繁に起きる問題ではないように思います。
それは違う。日常的な経済生活に関して発生する事犯を統計でまとめた警視庁の「平成26年における生活経済事犯の検挙状況」から見ると、ヤミ金融事件や知的財産権の侵害などを含めた事件総数の実に62%が環境事犯にあたる。しかもその中身は87%が廃棄物事犯だ。問題が顕在化しているのは氷山の一角に過ぎない。また、企業側では気にしないでいるものでも、専門的な視点から見ると問題と思われるケースもある。例えば、ある顧客企業から念のために検査をしてくれと依頼されたケースでは、4工場を監査した結果、法に抵触するような指摘事項が145件見つかった。一般の企業さんが見る場所と専門家が見る場所は違う。こうした見落としているケースがあるかもしれないということを心に留めておく必要がある。
Q. どのような物が問題になりやすいのでしょうか?
どのような製品であれ、普通は、原材料などを投入すると、多くは製品となってアウトプットされるが、製品にならなかった部分の一部は廃棄物になったり、あるいは、端材としても価値がある有価物など何らかの別の形となって納品業者へ返品される。意外な盲点となるのが、この有価物である。
有価物というのは、文字通り、価値のあるもの。代表的なものが、金属スクラップのようなものだ。しかし、価値があるのか、ないのか微妙なものもある。企業としては産廃扱いしたくない、産廃から外したいから有価物扱いにしてくれと無理に折衝をする。「1トン1円でもいいから買い取りという形にしてくれ」と頼み込み、それが結果的に不法処理とか不法投棄になってしまうケースがある。納品業者への返品についても注意が必要だ。使わなかったから返品とか、不良品だから返品するのではなくて、使った後にメーカーに戻したら原料として使ってもらえるというものもある。ところが、ユーザー企業としては産廃を削減させるために、それらの中に、この品質は原料に戻らないというものまで入れ込んで返品をしてしまうようなケースがある。
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