編集部注:「リスク対策.com」本誌2013年1月25日号(Vol.35)掲載の連載を、Web記事として再掲したものです。(2016年7月1日)

インターリスク総研
コンサルティング第二部BCM第二グループ
コンサルタント 永井直樹氏


 
 
富士山が噴火した場合、被害は火山周辺地域に留まらず、東京や神奈川など広い範囲に降灰などの影響が及ぶといわれている。近年発生したアイスランドの噴火では、物流やサプライチェーンが一時的に途絶するなどの被害が見られた。富士山の噴火が懸念される中、BCPの観点からどのように噴火対策を考えればいいのか。インターリスク総研の永井直樹コンサルタントに対策のポイントを聞いた。


企業・自治体も具体策はない状況 
日本国内の活火山についてはハザードマップの整備が進んでおり、火山近辺の自治体では、避難計画などの策定を進めている。ただし、降灰など広域に影響が及ぶ事象については具体的な対策まで踏み込めていない。 一方、企業についても、富士山周辺の一部の企業で、噴火の予兆があった際の避難方法や代替拠点の把握など、初動対応を中心に簡単なルールを定めている程度で、BCPの観点から噴火対策を整理している企業はほとんどないのが現状だ。

長期間にわたる被害想定 
富士山の噴火に備えたBCPを策定する上で、大まかに、火山周辺の溶岩流や火砕流が及ぶ地域と火山灰が及ぶ地域の2つに分けて考える必要がある。それをまとめると、図1〜3のようになる。