2019/08/20
知られていない感染病の脅威
症状・診断
ウイルスに感染してから発病するまでの潜伏期間は2日から最長3週間といわれています。しかし、ウイルスに汚染した注射器の針刺しなどで感染した場合の潜伏期間は短く、接触感染の場合には長くなる傾向があります。
エボラ出血熱の一般的な症状は、突然の発熱、強い脱力感、筋肉痛、頭痛、のどの痛みなどに始まり、その後、おう吐、下痢、発疹が出現するものです。肝機能および腎機能の異常も伴います。症状が重くなると、出血や意識障害が出現します。結膜充血などの急性眼症状は発熱などの他の症状と合併して出ます。検査所見としては白血球数や血小板数の減少、および肝酵素値の上昇が認められます。
肝臓でウイルスが増殖し、そのため肝臓が腫れて、右季肋部(横隔膜の高さの肋骨辺り)の圧痛(強く押されるような痛み)や叩打痛(背中の肋骨と脊椎が三角に交わる三角部をたたくと感じる骨に響くような痛み)が特徴的な症状となります。死亡率は高く、90パーセントに達することもあります。
病原診断
血液、咽頭拭い液、尿がウイルス検査材料です。ウイルス遺伝子の検出、ウイルス抗原の検出が行われ、さまざまな抗体検出法も実施されます。血液、体液などからウイルスを分離する検査法も重要ですが、通常1週間以上かかります。日本国内では、国立感染症研究所村山庁舎が病原診断担当機関になっています。
治療
承認された治療薬はありませんが、コンゴでは集団発生が起きているため、研究段階にあるいくつかの薬剤が人へ投与されています。しかし現時点では、対症療法が基本となり、特に輸液管理が重要となっています。
予防
研究用に使用されているワクチンはありますが、承認済みのワクチンはありません。予防を考える上で、以下の事柄を考慮する必要があります。すなわち、免疫応答や炎症反応などが起こりにくい精巣、眼球内部および中枢神経系においては、エボラ出血熱回復後にもウイルスが存在し続けた事例があった。また、エボラ出血熱治療後9カ月目に、エボラウイルスが原因で遅発性の急性脳髄膜炎を発症した症例もあった。これらの事例は、患者が回復した後も、ウイルスは長期間体内に潜み続けることがあることを示唆しています。
エボラウイルスに感染しないようにするためには、流行地域に行かない、たとえ行っても野生動物に直接触れない、その肉を生で食さないことなどが重要です。流行地では、患者の体液(排泄物を含む)や、患者が触れた可能性のある物品に直接触れないようにすることは重要ですが、せっけんなどでのこまめな手洗いなども有効です。
知られていない感染病の脅威の他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月16日配信アーカイブ】
【4月16日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:熊本地震におけるBCP
2024/04/16
-
調達先の分散化で製造停止を回避
2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町。オフィス家具を製造するホリグチは真備町内でも高台に立地するため、工場と事務所は無事だった。しかし通信と物流がストップ。事業を続けるため工夫を重ねた。その後、被災経験から保険を見直し、調達先も分散化。おかげで2023年5月には調達先で事故が起き仕入れがストップするも、代替先からの仕入れで解決した。
2024/04/16
-
工場が吹き飛ぶ爆発被害からの再起動
2018年の西日本豪雨で隣接するアルミ工場が爆発し、施設の一部が吹き飛ぶなど壊滅的な被害を受けた川上鉄工所。新たな設備の調達に苦労するも、8カ月後に工場の再稼働を果たす。その後、BCPの策定に取り組んだ。事業継続で最大の障害は金属の加温設備。浸水したら工場はストップする。同社は対策に動き出している。
2024/04/15
-
動きやすい対策本部のディテールを随所に
1971年にから、、50年以上にわたり首都圏の流通を支えてきた東京流通センター。物流の要としての機能だけではなく、オフィスビルやイベントホールも備える。2017年、2023年には免震装置を導入した最新の物流ビルを竣工。同社は防災対策だけではなく、BCMにも力を入れている。
2024/04/12
-
民間企業の強みを発揮し3日でアプリ開発
1月7日、SAPジャパンに能登半島地震の災害支援の依頼が届いた。石川県庁が避難所の状況を把握するため、最前線で活動していた自衛隊やDMAT(災害派遣医療チーム)の持つ避難所データを統合する依頼だった。状況が切迫するなか、同社は3日でアプリケーションを開発した。
2024/04/11
-
-
組織ごとにバラバラなフォーマットを統一
1月3日、サイボウズの災害支援チームリーダーである柴田哲史氏のもとに、内閣府特命担当の自見英子大臣から連絡が入った。能登半島地震で被害を受けた石川県庁へのIT支援要請だった。同社は自衛隊が集めた孤立集落や避難所の情報を集約・整理し、効率的な物資輸送をサポートするシステムを提供。避難者を支援する介護支援者の管理にも力を貸した。
2024/04/10
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月9日配信アーカイブ】
【4月9日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:安全配慮義務
2024/04/09
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方