2019/03/07
講演録
1月24日・東京都中小企業振興公社フォーラムより
弊社は富士フイルムの100%出資の生産子会社として、2005年4月、熊本県菊陽町に設立されました。社員が当時で300名程、平均年齢32歳という若い会社です。主力製品である液晶用タックフィルムは、世界の総需要の約40%を私どもの工場で生産しています。
2016年の熊本地震では大きな地震が2回ありました。前震の時は、ちょうど残業中でした。当時の社長は大きな余震が続いたことを踏まえて従業員の安全が第一ということで、ラインの全面停止を判断しました。これにより、本震では全ユーティリティが喪失しましたが、交代勤務の社員も怪我なく避難することができました。建物や設備に様々な損壊が出ましたが、火災や地域に与える環境影響等もありませんでしたので、その点は非常によかったと思います。
早期の災害復旧のポイントとしては、普段からいかに減災活動をしておくか。それには過去の教訓と、それに対する準備、そして繰り返しの訓練だと思っています。発生後は、発災初動、生産復旧となりますが、並行して、社員の支援が本当に大事です。
地震前の減災活動では、富士フイルム本体が仕組みを整備したウェブシステムを使い、本体の危機管理チームとグループ企業全体が、初期被害情報を瞬時に共有できる訓練を行いました。特に、首都直下大地震で本体が被災した場合に、富士フイルム九州の災害対策本部がウェブシステムを使って安否や初期被害情報等を把握し、本体経営トップに報告するチームを作り、訓練してきました。熊本地震ではその逆の形を、身を以て経験する事になりました。
さらに、東日本大震災の翌年の2012年に防災倉庫を作りました。迅速な対応のための拠点として、平常時は食糧・水等の備蓄、有事には初期の避難所と災害対策本部となるものです。
- keyword
- 富士フイルム九州
- 東京都中小企業振興公社
講演録の他の記事
おすすめ記事
-
-
-
3線モデルで浸透するリスクマネジメントコンプライアンス・ハンドブックで従業員意識も高まる【徹底解説】パーソルグループのERM
「はたらいて、笑おう。」をグループビジョンとして掲げ、総合人材サービス事業を展開するパーソルグループでは、2020年のグループ経営体制の刷新を契機にリスクマネジメント活動を強化している。ISO31000やCOSO-ERMを参考にしながら、独自にリスクマネジメントの体制を整備。現場の業務執行部門(第1線)、ITや人事など管理部門(第2線)、内部監査部門(第3線)でリスクマネジメントを推進する3線モデルを確立した。実際にリスクマネジメント活動で使っているテンプレートとともに、同社の活動を紹介する。
2024/07/23
-
インシデントの第一報を迅速共有システム化で迷い払拭
変圧器やリアクタなどの電子部品や電子化学材料を製造・販売するタムラ製作所は、インシデントの報告システム「アラームエスカレーション」を整備し、素早い情報の伝達、収集、共有に努めている。2006年、当時社長だった田村直樹氏がリードして動き出した取り組み。CSRの一環でスタートした。
2024/07/23
-
「お困りごと」の傾聴からはじまるサプライヤーBCM支援
ブレーキシステムの開発、製造を手掛けるアドヴィックスは、サプライヤーを訪ね、丁寧に話しを聞くことからはじまる「BCM寄り添い活動」を2022年度から展開している。支援するのは小規模で経営体力が限られるサプライヤー。「本当に意味のある取り組みは何か」を考えながら進めている。
2024/07/22
-
-
危機管理担当者が知っておくべきハラスメントの動向業務上の指導とパワハラの違いを知る
5月17日に厚生労働省から発表された「職場のハラスメントに関する実態調査報告書」によると、従業員がパワハラやセクハラを受けていると認識した後の勤務先の対応として、パワハラでは約53%、セクハラでは約43%が「特に何もしなかった」と回答。相談された企業の対応に疑問を投げかける結果となった。企業の危機管理担当者も知っておくべきハラスメントのポイントについて、旬報法律事務所の新村響子弁護士に聞いた。
2024/07/18
-
基本解説 Q&A 線状降水帯とは何か?集中豪雨の3分の2を占める日本特有の現象
6月21日、気象庁が今年初の線状降水帯の発生を発表した。短時間で大量の激しい雨を降らせる線状降水帯は、土砂災害発生を経て、被害を甚大化させる。気象庁では今シーズンから、半日前の発生予測のエリアを細分化し、対応を促す。線状降水帯研究の第一人者である気象庁気象研究所の加藤輝之氏に、研究の最前線を聞いた。
2024/07/17
-
-
災害リスクへの対策が後回しになっている円滑なコミュニケーション対策を
目を向けるべきOTリスクは情報セキュリティーのほかにもさまざま。故障や不具合といった往年のリスクへの対策も万全ではない。特に、災害時の素早い復旧に向けた備えなどは後回しになっているという。ガートナージャパン・リサーチ&アドバイザリ部門の山本琢磨氏に、OTの課題を聞いた。
2024/07/16
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方