熊本地震での対応を語る布留川氏

1月24日・東京都中小企業振興公社フォーラムより

弊社は富士フイルムの100%出資の生産子会社として、2005年4月、熊本県菊陽町に設立されました。社員が当時で300名程、平均年齢32歳という若い会社です。主力製品である液晶用タックフィルムは、世界の総需要の約40%を私どもの工場で生産しています。

2016年の熊本地震では大きな地震が2回ありました。前震の時は、ちょうど残業中でした。当時の社長は大きな余震が続いたことを踏まえて従業員の安全が第一ということで、ラインの全面停止を判断しました。これにより、本震では全ユーティリティが喪失しましたが、交代勤務の社員も怪我なく避難することができました。建物や設備に様々な損壊が出ましたが、火災や地域に与える環境影響等もありませんでしたので、その点は非常によかったと思います。

早期の災害復旧のポイントとしては、普段からいかに減災活動をしておくか。それには過去の教訓と、それに対する準備、そして繰り返しの訓練だと思っています。発生後は、発災初動、生産復旧となりますが、並行して、社員の支援が本当に大事です。

地震前の減災活動では、富士フイルム本体が仕組みを整備したウェブシステムを使い、本体の危機管理チームとグループ企業全体が、初期被害情報を瞬時に共有できる訓練を行いました。特に、首都直下大地震で本体が被災した場合に、富士フイルム九州の災害対策本部がウェブシステムを使って安否や初期被害情報等を把握し、本体経営トップに報告するチームを作り、訓練してきました。熊本地震ではその逆の形を、身を以て経験する事になりました。

さらに、東日本大震災の翌年の2012年に防災倉庫を作りました。迅速な対応のための拠点として、平常時は食糧・水等の備蓄、有事には初期の避難所と災害対策本部となるものです。