図1.エボラ出血熱ウイルス電子顕微鏡像(出典:国立感染症研究所資料)

エボラウイルス

前回はエボラ出血熱の、主にアフリカにおける流行の歴史を紹介しました。今回は主にエボラウイルスの特徴について掘り下げます。

■あまり知られていないエボラ出血熱(前編)
https://www.risktaisaku.com/articles/-/18931

エボラウイルスはフィロウイルス科に属する、ひも状の特異的な形状のウイルスです(図1)。ウイルス粒子表面には脂質タンパクで構成されるエンベロープという構造物が存在するため、アルコールやせっけんなどの脂質溶媒に接触すると簡単に感染力を失います。しかし、強い病原性を持つ、危険度の非常に高いウイルスです。そのため、ウイルス増殖を伴う作業は、最高度安全実験施設(Biosafety level-4: BSL-4)施設で実施される必要があります。日本では東京都武蔵村山市にある国立感染症研究所村山庁舎に、グローブボックス式BSL-4施設が設置されています。

エボラウイルスの本来の宿主は、アフリカの熱帯雨林に生息するオオコウモリと考えられています。自然界で維持されていたエボラウイルスが、最初に人へ感染した原因は不明ですが、オオコウモリの狩猟と捕食による感染が疑われています。人から人へのウイルスの感染は、血液、体液との直接接触により起きます。