以下、安全な場所へ搬送後の救急対応手順

1、ペットの反応確認 ・所要時間は搬出後から10秒以内
①高い声での呼びかけ、手をたたく音などで、反応レベルを確認する。
②歩行できるか、倒れている体勢と場所を確認する。何らかの反応がある場合は、煙による窒息。転落や家具倒壊による脊椎損傷などを疑う。
③出血の有無、体形の異常、嘔吐物、失禁の有無などを外見チェックする。

2、バイタルサインの確認 ・所要時間は反応確認後から10秒以内
※意識の無い場合は革手袋を外し、ディスポ手袋を使用する。
①意識の確認:呼びかけや足の裏を軽く叩くなどの刺激反応を見る。
②呼吸の確認:ペットの背部から5秒以内で胸腹部の動きを観察。
 片手で気道確保しながら、喉に手を当て、吐く息の温もり、呼吸数を
 数える。うなり声、いびきのような音も聞く。
 ※呼吸をしていなければ速やかにCPR開始。ペースは100回毎分。
ペットのCPRの方法は、次号でご紹介いたします。 

●ペットの意識がある場合
※革手袋はしたまま。
①負傷している、おびえている動物は、何の兆候も無しに噛むことがあるので注意。特にフル装備の姿、空気呼吸器の呼吸音におびえるペットが多い、
②大人しく首輪やハーネスを付けた状態であれば、リードを探すか、または、リードに変わるものを使って、飼い主に引き渡すか、外に連れ出し他の隊員や隣人に託す。なお、リードなしで連れ出すと道路に飛び出て車にひかれたり、または逸走してしまうこともあるため注意すること。

もし、火災現場から逃げ出した飼い主からペットが逃げ遅れたという情報がある場合。

●ペットの検索手順
①普段、ペットがおびえたときに隠れたがる場所を飼い主から聞く。
②隠れている場所から引き出す方法も必要であれば聞いておく。
③飼い主や隣人や家族等、慣れている人に呼んでもらう。
④地震時、火災時では、逃げ場が違うことが多い。
⑤えさとリード&ハーネス、猫の捕獲用に洗濯ネット等を持って行く。
⑥咬まれたり、引っかかれたりしないように革手袋を装着。

なお、おびえている犬の場合は吠えるため、興奮が高まるほど煙を多く吸ってしまうことがあります。

噛む恐れのあるペット、首輪やハーネスのないにペットに対しては、マズルの結び方を覚えておくと便利です。

●犬に噛まれないためのマズルの結び方


出典:Youtube

いかがでしたでしょうか?

日本では、まだ、「なぜ、消防士がペットを救助しなくてはいけないんだ?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、ペットは消防法第1条の「財産」に該当しますので、消防活動の正当な目的になります。

もちろん、人命救助が最優先ですが、ペットを失った家族の心の痛みはとても大きく、特に独居老人などの場合、生きている楽しみが無くなる場合さえあります。

心優しい日本の消防士の皆さん、どうか、現場でのペットレスキューも受け入れていただけますよう、心からお願いいたします。

次回は、ペットの心肺蘇生法についてです。

PS: 英語ですが「ペットの救急法のアプリ」です。
https://itunes.apple.com/jp/app/pettech-petsaver/id397043925?mt=8

それでは、また。


ここにご紹介したコンテンツは、私がインストラクターとして所属している2つの団体、アメリカ最大のペット救急法指導団体であるPetTechのThe PetSaver™ Program、そして、消防士のためのペット救急法指導団体、BART(Basic Animal Rescue Training)ら出典しています。

PetTech
http://www.pettech.net/

BART(Basic Animal Rescue Training)
http://basicanimalrescuetraining.org/
BARTのブログで紹介されました。
http://goo.gl/ZoJoX6

ペットセーバー
http://petsaver.jp