2019/09/06
知られていない感染病の脅威
旅行者の感染リスク
日本などの黄熱の発生していない国から黄熱ウイルス汚染地域に旅行する人の、黄熱ウイルスに感染する危険度はさまざまです。すなわち、免疫状態(黄熱ワクチンを接種したか否か)、旅行する場所、季節(感染する恐れの高い期間であるか否か)、旅行中での仕事の内容(屋内での作業か屋外での作業か)などさまざまな旅行者の活動内容、旅行時における現地のウィルス汚染状況などが関与してきます。
ある地域での黄熱患者数は、その地域での黄熱ウイルス感染危険度の主要な尺度になります。しかし、その地域で報告されている黄熱患者数が少ない場合、地域住民の多くがワクチン接種をすでに受けているか、逆にその地域における黄熱サーベイランスシステムが機能していないという真逆のケースがあります。この「黄熱患者数が少ない」ことは、黄熱ウイルス感染危険度が低いことに必ずしもつながらない場合のあることを認識しておく必要があります。従って、黄熱に罹患する恐れのある国あるいは地域へ、黄熱ワクチンを接種せずに旅行することは危険です。
西アフリカ農村部での黄熱ウイルスに感染する危険度は季節によって異なります。雨季の終わりと乾期の初めの期間(通常7~10月)に感染する危険度は上がります。乾期でも人口の密集した都市部や一部の農村部で一時的に起こることがあります。
一方、南米で黄熱ウイルスに感染する危険度はアフリカより低いのですが、雨季(1〜5月で、2月と3月に発病のピーク)に最も高くなります。発病者の多くは、農村部よりも都市部で見られる傾向があります。南米での黄熱ウイルス感染リスクがアフリカより低い原因として、サルとの間でウイルス感染環を成立させている、南アメリカの森林に生息する蚊が、人に接触する機会をあまり持っていないためと考えられています。また、南米に住む黄熱発生地域住民の多くはワクチン接種を受けており、そのおかげで黄熱ウイルス感染リスクが低くなっているようです。
いずれにしても、危険度の高い地域に出かける場合には、あらかじめ十分な予備知識と準備をすることが肝要です。
(了)
知られていない感染病の脅威の他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2026/08/05
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/08/04
-
-
-
-
令和8年熊本地震 猛暑の被災地で熱中症を避ける
最大震度7を記録した令和8年熊本地震。熊本県内では400超の避難所が開設され、約9千人が避難している(29日時点)。真夏の避難生活は、熱中症の危険性を確実に高める。しかもこれからは、猛暑・酷暑下での復旧活動が本格化し、多くの人々が被災地で活動する。現地で熱中症をどう防いだらいいか。熱中症と災害医療に詳しい、さいたま赤十字病院高度救命救急センターの席 望医師に対策を聞いた。
2026/07/30
-
令和8年熊本地震 広がるデマ、どう見分ける?SNSとの向き合い方
28日に発生した最大震度7を記録した熊本地震では、早くも豪華寝台列車「ななつ星」が脱線したなどのデマ情報が広く拡散された。災害のたびに、広くSNSで拡散される情報にどう向き合えばいいか。デジタル空間の情報分析を専門とする Japan Nexus Intelligence の竜口七彩氏に聞いた。
2026/07/29
-
-
事例研究で有事に備え、組織の体質改善で形骸化を防ぐ
組織レジリエンスの強化やサイバーセキュリティーの向上、サプライチェーンの強靭化など、危機管理やリスク管理担当者が関与する領域は年々拡大している。変化する社会状況にあわせ、担当者はどのように学び、備え、対応することが求められるのか。森総合研究所代表の森健さんは、自治体と企業で危機管理担当者としての経験を積み、現在はコンサルタントとして、企業や団体の危機管理の支援を手がけている。自身の経験を踏まえ、危機管理の担当者にどうアドバイスしているのか、話を聞いた。
2026/07/27
-






※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方