写真:ウィキペディア 321keiHIKARI (平成30年台風21号の影響で泉南市民体育館周辺では、電柱が複数本薙ぎ倒され、規制線が張られ通行止めとなった)

台風15号が関東を直撃した場合、昨年の台風21号と同じような被害が出る可能性があると報じられている。では台風21号は、どのような被害が出たのか? 

あまり知られていないが、台風21号は、東日本大震災に迫る損害保険の支払額を記録した。

昨年の豪雨被害といえば、250人を超える犠牲者を出した西日本豪雨を思い浮かべる人が多いかと思うが、損害保険の支払い額でいえば、台風21号は西日本豪雨の比ではない。日本損害保険協会によれば、西日本豪雨の保険支払い額は1956億円。これに対し、台風21号は1兆687億円と桁が1つちがう。東日本大震災の支払額は1兆2346億円だったことからほぼ匹敵する規模だ。

ちなみに、昨年は台風24号も大きな被害をもたらし3061億円の支払いが生じたほか北海道地震もあったため、単年度で比べれば東日本大震災を上回った。台風21号については、大阪府内での支払いが6007億円で半分以上を占める。

支払いは車両より火災保険が圧倒的に多い。関西国際空港連絡橋にタンカーが衝突し連絡橋が中破した映像が記憶に新しいが、被害の多くは一般家屋や企業の建物や施設だったとみられる。

【主な被害】
住家の全壊59棟、半壊627棟、一部破損8万5715棟、床上浸水64棟、床下浸水452棟、公共建物被害1195棟、その他非住家被害4529棟
(出典:ウィキペディア)

大阪府でこれほど大きな被害が出た要因は、風速45メートルという強風によるものだ。特に大阪市内では規模の大きな建物の周辺の狭い範囲で複雑な「ビル風」が発生したと見られており、それが大きな被害をもたらしたと考ええられている。

風速60メートルともいわれている今回の台風15号がどのような被害をもたらすかは未知数だが、最大の備えをしておく必要がある。

出典:日本損害保険協会2019年5月20日ニュースリリース

(了)