2016/10/07
ニュープロダクツ


コンクリート2次製品総合メーカーの株式会社ホクコン(本社:福井県福井市)は、非常用し尿分離型トイレ「UD ドライトイレ」を3日から販売開始した。
既存のトイレの個室をそのまま活用し、洋式にも和式にもそのまま被せるだけで使用できる、プラスチックダンボール製の組み立て式簡易型トイレだ。
体内から排泄される尿にはほとんど病原菌はいないが、病原菌の塊である大便と合わさることで、より臭気が発生する。それぞれの排泄物を分けて、消石灰でアルカリ環境にすることで、腐敗臭と病原菌の増殖による悪臭の発生を防止する。
分離した便は可燃ごみとして焼却処分するか、土に戻すことができるので、処理量を激減できる。尿は消石灰の添加により土壌に浸透させたり、水と薄めて肥料としても利用が可能。ホームセンターなどで入手できる消石灰を使用するので、従来の凝固剤と比べて処理コストが約1/10となり、トイレ1 回あたりの処理コストが安くなる。
BCP 対策中の企業から災害に備える一般家庭、また公共・高齢者向けの施設や病院で使用できる。エレベーターが停止した高層階に住む災害弱者にも最適だ。
もともとは京都大学の清水芳久教授が代表を務める「トイレの未来を考える会」が長年に渡り、水を使用しない、し尿分離型のトイレの実用化に取り組んできた。東日本大震災発生時には、同会はそれまでの研究結果を形にしたポータブル型のし尿分離トイレを企画製作し、水も電気もない環境でトイレに困っている被災地を支援した。一方でホクコンは清水氏の研究を知り、製造販売を全面的にプロデユースすることになったという。
販売価格は、1セット2万円。全国で販売し、1万セットの販売を目指す。
(了)
ニュープロダクツの他の記事
おすすめ記事
-
「ジョブ型」へシフトできない姿が露呈変わらなければ人は入って来ない
新型コロナウイルス感染症の先行きが見通せない状況が続いています。企業の危機管理担当者がいま持つべき視点と取り組むべき対策を、感染リスクと事業継続リスクの側面から聞くリレーインタビュー第2弾。プリンシプルBCP研究所の林田朋之所長のコメントを紹介します。
2021/01/26
-
従来のビジネストレンドが「加速」する当座をしのぐことより中長期を見すえて
緊急事態宣言の再発令で経済社会のダメージが一層深刻化、先行きも見通せないなかで企業の危機管理担当者がいま持つべき視点と取り組むべき対策は何か。感染リスクと事業継続リスクの側面から、専門家にリレーインタビューします。
2021/01/25
-
地域支えるモノづくり、「災害弱者」へまなざし深く
東日本大震災の被災を教訓に「医療と防災のヒトづくり・モノづくりプロジェクト」を推進する北良株式会社(岩手県北上市、笠井健社長)は、人材開発と技術開発を両輪に「災害に強い社会づくり」を本気で目指すプロジェクトを推進。その取り組みは確実に成果を上げ、社内に防災文化を築くとともに、事業活動を通じて地域へ、全国へとその波紋を広げています。「技術開発」にスポットをあてて取材しました。
2021/01/25