コンクリート2次製品総合メーカーの株式会社ホクコン(本社:福井県福井市)は、非常用し尿分離型トイレ「UD ドライトイレ」を3日から販売開始した。

既存のトイレの個室をそのまま活用し、洋式にも和式にもそのまま被せるだけで使用できる、プラスチックダンボール製の組み立て式簡易型トイレだ。

体内から排泄される尿にはほとんど病原菌はいないが、病原菌の塊である大便と合わさることで、より臭気が発生する。それぞれの排泄物を分けて、消石灰でアルカリ環境にすることで、腐敗臭と病原菌の増殖による悪臭の発生を防止する。

分離した便は可燃ごみとして焼却処分するか、土に戻すことができるので、処理量を激減できる。尿は消石灰の添加により土壌に浸透させたり、水と薄めて肥料としても利用が可能。ホームセンターなどで入手できる消石灰を使用するので、従来の凝固剤と比べて処理コストが約1/10となり、トイレ1 回あたりの処理コストが安くなる。

BCP 対策中の企業から災害に備える一般家庭、また公共・高齢者向けの施設や病院で使用できる。エレベーターが停止した高層階に住む災害弱者にも最適だ。

もともとは京都大学の清水芳久教授が代表を務める「トイレの未来を考える会」が長年に渡り、水を使用しない、し尿分離型のトイレの実用化に取り組んできた。東日本大震災発生時には、同会はそれまでの研究結果を形にしたポータブル型のし尿分離トイレを企画製作し、水も電気もない環境でトイレに困っている被災地を支援した。一方でホクコンは清水氏の研究を知り、製造販売を全面的にプロデユースすることになったという。

販売価格は、1セット2万円。全国で販売し、1万セットの販売を目指す。

(了)