2016/10/13
防災・危機管理ニュース
学校トイレの5K(臭い、汚い、怖い、暗い、壊れている)を払拭し、明るく快適なトイレへの改善に向けた研究・啓発活動を継続している「学校のトイレ研究会」(事務局:東京都港区 TOTO株式社内)は、熊本地震の被災地で学校や体育館など避難所6カ所で生活をしている101人を対象に、7月13から15日にかけてアンケート調査を行い、5日に結果を発表した。
「地震直後に避難所で不便に思ったことは?」の設問に、食事や衣類、冷暖房などを大きく引き離して、第1位が「トイレ」(67%)、第2位が「入浴・シャワー」(63%)となった。続いて「洗濯」「食事」がそれぞれ32%、「寝具」が23%、冷暖房が22%、衣類が21%、テレビ等情報機器が20%となっている。
「避難所の常設トイレの設備面で困ったことは?」の設問では、第1位が「和式便器が多い」(36%)、第2位が「温水洗浄便座がない」(28%)となった。第3位は「床が濡れていることが多い」(25%)で、以下「照明が暗い」(20%)、「手すりがない」(15%)、「段差がある」(14%)、「車いす対応トイレがない」(10%)と続いている。
避難所のトイレのほとんどが和式主体で、洋式便器は長蛇の列だったため、長期避難者の大半を占める高齢者から「和式便器が使えない、不便」という声があがった。入浴・シャワーができないことから温水洗浄便座を求める意見も多くあった。学校など避難場になり得る施設では、トイレの洋式化が急務であることがあらためて確認された。
学校のトイレ研究会は発足から20年を迎え、これまで培った研究知見を一冊にまとめた総集編「学校トイレノウハウブック」を発行。誌面では、熊本での調査結果も緊急報告として掲載していて、同会ホームページから取り寄せができる。
また同ホームページでは、「学校のトイレ研究誌2016 号外」として、熊本の人々の生の声をはじめ、次々と不足の事態が起こる中、協力して乗り越えていった現場の尽力を報告している。
「学校のトイレ研究会」ホームページ
http://www.school-toilet.jp/
(了)
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
ゲリラ豪雨を30分前に捕捉 万博会場で実証実験
「ゲリラ豪雨」は不確実性の高い気象現象の代表格。これを正確に捕捉しようという試みが現在、大阪・関西万博の会場で行われています。情報通信研究機構(NICT)、理化学研究所、大阪大学、防災科学技術研究所、Preferred Networks、エムティーアイの6者連携による実証実験。予測システムの仕組みと開発の経緯、実証実験の概要を聞きました。
2025/08/20
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/08/19
-
-
-
-
「自分の安全は自分で」企業に寄り添いサポート
海外赴任者・出張者のインシデントに一企業が単独で対応するのは簡単ではありません。昨今、世界中のネットワークを使って一連の対応を援助するアシスタンスサービスのニーズが急上昇しています。ヨーロッパ・アシスタンス・ジャパンの森紀俊社長に、最近のニーズ変化と今後の展開を聞きました。
2025/08/16
-
-
白山のBCPが企業成長を導く
2024年1月1日に発生した能登半島地震で震度7を観測した石川県志賀町にある株式会社白山の石川工場は、深刻な被害を受けながらも、3カ月で完全復旧を実現した。迅速な対応を支えたのは、人を中心に据える「ヒト・セントリック経営」と、現場に委ねられた判断力、そして、地元建設会社との信頼関係の積み重ねだった。同社は現在、埼玉に新たな工場を建設するなどBCPと経営効率化のさらなる一体化に取り組みはじめている。
2025/08/11








※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方