2019/10/28
企業よ、サイバーリスクに備えよ
3.演習例
企業端末がマルウェア感染に侵された演習例(一部)を挙げて説明します。
上記の演習フローは、情報システム部とCSIRTが受講者となった例です。
1)ファシリテーターがランサム被害にあった担当として振る舞い、自分のPCが制御不能(ロックされた)となった事象を情報システム部に報告します。
2)情報システム部は、被害対象となったPCに対する情報取集アクションをインシデント対応マニュアルに沿って指示します。(資産管理番号、ロックされた画面など)
3)次にランサム被害の可能性が高いため、情報システム部はCSIRTチームに一次報告を上げます。それを受け取ったCSIRTチームは、端末の隔離指示を返します。
4)その後、トリアージ作業に移り、さらなる詳細情報を取得するため、外部のセキュリティアプリ会社に情報取得のためのアクション問い合わせを指示します。
5)ファシリテーターはセキュリティアプリ会社として振る舞い、情報取得のための指示を返します。
上記のように、受講対象者は起きてしまったインシデントに対して、なるべく具体的な指示が早急に出せるかどうかが演習のキーファクターになってきます。ファシリテーターは各アクションの対応内容をチェックします。より早く、明確な指示がないと収束に時間がかかるようにファシリテーターは振る舞います。
4.演習行方
演習の結果は受講者のアクションの素早さや指示の正確さによって結果が異なります。例えば、演習対象システムがマルウェア感染の疑いのある状態に陥ったとします。しかし、このシステムを停止すると企業の売り上げにダメージを与えてしまうリスクがあります。
いつ、どのような手段でリスクを回避しながらインシデントレスポンスをしなければならないか?受講者の対応によって結果は左右されます。対応を間違えると長期にわたってシステム復旧ができなくなるといったBAD ENDのシナリオも存在します。
5.演習結果
演習結果の評価レポートについて説明します。下記はアライドテレシスで行っているサイバーセキュリティ演習―DECIDE(R) Platform―のサンプルレポートです。
評価レポートは下記の内容が記載されています。
1)演習評価対象の説明
演習対象組織と対象システムの内容が記載されます。
2)演習で行った攻撃内容と全体評価
今回行った攻撃の具体的内容とそれに対応した部門の総合評価です。ここには会社全体に対する今後の改善ポイントなどが記載されます。
3)シナリオ別評価
シナリオ別評価には詳細な評価内容―インシデントレスポンスアクション時の評価―が記載されており、また部門ごとの改善ポイントやインシデント対応マニュアルの改善ポイントなども記載されます。また演習対応に対するGoodポイントも記載されます。
演習結果の評価レポートは、組織ごとに用意されているインシデント対応マニュアルの改善のツールとして活用いただくことを推奨します。
このようにサイバー攻撃対応演習は、有事の際にどのように振る舞えるか、といった組織の現状を知るには非常に有効です。しかしながら、実践するには演習企画側に多くの経験と準備が必要になります。
- keyword
- サイバーセキュリティ
- サイバー攻撃
- アライドテレシス
企業よ、サイバーリスクに備えよの他の記事
- 最終回:サイバー攻撃対応演習の実施
- 実際に情報インシデントが起きた想定演習
- 人・組織で行うサイバーセキュリティ対策
- LANシステム診断サービスについて
- 企業内感染の脅威、自分の端末が踏み台に
おすすめ記事
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2026/02/05
-
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/02/03
-
-
-
発災後をリアルに想定した大規模訓練に学ぶ
2026年1月14日、横浜市庁舎10階の災害対策本部運営室で、九都県市合同による大規模な図上訓練が行われた。市職員に加え、警察、自衛隊、海上保安庁、医療従事者、ライフライン事業者などが一堂に会し、市災害対策本部運営をシミュレーションした。
2026/01/26
-
-
-
報告すべきか迷う情報 × 最初の一言 × 隠蔽と正直の分岐点
ここ数年、データ改ざんによる不正が突然発覚するケースが増えています。製品仕様に適合していないにもかかわらず、データの書き換えが行われていたり、燃費データや排ガス成分濃度が改ざんされているなど、さまざまな分野でこうした事件は後を絶ちません。今年も、中部電力・浜岡原子力発電所において、安全データの改ざん疑いが発覚しました。 こうした改ざんを未然に防ぐことは、リスクマネジメントの最重要テーマですが、一方で、既に起きてしまっていることを前提として、いかに早く発見し、対処するかを考えておくことも危機管理においては重要になります。
2026/01/26










※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方