「防災商品も、顧客志向が求められている。単にありものを紹介するのではなく、オリジナル商品を展開していくことが大切」と話すのは、株式会社河本総合防災代表取締役社長の伊藤隆夫氏。

同社は1957年に消火器の製造・販売業として河本製作所として創業。1962年に総合防災業を営むべく現在の会社を創立した。2012年に事業継続マネジメントシステムの国際規格であるISO22301を総合防災企業として世界で初めて取得。現在取り扱う防災関係の商品点数はおよそ1万点にのぼる。伊藤氏はもともと他の防災メーカーに勤めていたが、現会長の河本俊二氏の経営方針や人柄に魅かれ同社に入社。昨年から代表取締役を務めている。

伊藤氏が現在力を入れているのは、分散型のオリジナル備蓄商品の開発だ。「どんなに備蓄を整備しても、例えば備蓄がビルの地下にあったらいざというときに役に立たない可能性が高い」と考え、防災士とともに開発したのが「3Daysライフカプセル」。A4サイズで奥行き75mmの箱の中に保存期間5年の非常食や簡易トイレなど、災害時の3日分の必須アイテムを厳選して収納した。オフィスの棚や引き出しにピッタリ収まるファイルサイズで好評を博している。顧客からの要望に応え、「1Day+ライフカプセル」「Lady’s+ライフカプセル」などのラインナップも揃えた。

伊藤氏は「最近は他社でも同じような商品が出てきたが、業界で最初に開発したのは当社」と胸を張る。最近では災害時のトイレ問題に着目し、トイレの中に簡易トイレを備え付ける「レスキューパックトイレ」も開発した。「備蓄はできるだけ使う場所のそばに配置したほうがいい」という考え方のもと、これからもオリジナル商品の開発に力を入れていくという。

一方で、同社は社会貢献活動にも積極的だ。2009年より国連世界食糧計画(WFP)の学校給食プログラムに賛同。また東日本大震災の復興を願い「がんばろう日本」バージョンの消火器の販売を開始し、ともに消火器の販売本数に応じた寄付を行っている。

伊藤氏がいま最も懸念していることは、首都直下地震などの大災害が発生した場合に総合防災企業としての責任を果たすためには、サプライヤーや提携している協力会社のさらなるBCPの強化が不可欠であること。同社ではかねてから、ホームページで企業の災害対策マニュアルの簡易策定方法が無料で閲覧できるようにしたほか、「期限管理forクラウド」(http://kigenkanri.jp/)ホームページを開設。備蓄品の期限管理システムを無料でデモ版を公開するなど、企業のBCP策定の取り組みを支援するためのツール開発に取り組む。

伊藤氏は「BCPは1社で取り組んでも限界がある。周りの企業を巻き込んで初めて、巨大な災害にも対応できるようになる。これからもBCPの重要性を伝えていきたい」としている。

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