2019/11/29
台風19号関連風水害対策特集
職場での避難受け入れやテレワークも
この台風19号では江戸川区内では軽傷者4人、半壊が1棟、一部破損41棟に被害はとどまった。これは河川上流域のダムの他、中流域では埼玉県にあり3900万立方メートルの容量を持つ荒川調整池の彩湖、中川と江戸川を結ぶ三郷放水路の他、中川など中小河川の水をゆとりのある江戸川に流し、67万立方メートルもの水をためておくこともできる「地下神殿」こと首都圏外郭放水路、下流域では区内にあるスーパー堤防といった主に国や都が造った強固なインフラが守ったことが大きい。今回は難を逃れたものの、温暖化が進む中で今後、これらインフラで対処できない災害も起こりうる。
江東5区以外に都や内閣府なども交えた「首都圏における大規模水害広域避難検討会」では、今年度中に方針のとりまとめを行う予定となっている。12月に第4回の会議を開き、とりまとめには今年相次いだ台風の教訓も反映されるが、機関の役割分担などは決められても、具体的な広域避難の受け入れ先の決定には踏み込めないとみられている。本多氏も「江東5区の人口250万人全員を受け入れる公的な避難場所を見つけるのは難しい」と語る。それゆえに自助・共助が重要と指摘。「企業は何かあれば従業員と家族を避難先として受け入れてほしい」と述べた。また「柔軟な働き方も大事になってくる。避難のための休暇やテレワークを認めることも安全につながる」と協力を呼びかけた。
江戸川区では今後、ハード面では国や都が進めるスーパー堤防整備の際の街づくり、ソフト面については水害BCP作成の他、ハザードマップも用いて、水害に関する講演会や企画展示も進めていく。「町会や自治会単位の説明会も行っており、今回の台風で説明会や講演会のリクエストも来ている。『ここにいてはダメです』のハザードマップがマスコミにも取り上げられ、水害への区民の意識は確実に高まっている」と本多氏は語った。公助の限界も見えつつある中、情報提供や注意喚起といった「自助を促す公助」は今後重要性を増しそうだ。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
台風19号関連風水害対策特集の他の記事
- 都、計画運休時の出勤でルール作り
- 江戸川区、広域避難回避の背景と今後
- ボランティア7.2万人、地域偏在も
- 被災地・長野で住宅再建へ動く企業
- 台風19号の大惨事に思う「常に備えよ!」
おすすめ記事
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/02/17
-
-
-
-
-
今年の夏は大規模停電のリスク大?
今年の夏、東京電力管内を中心に電力不足が懸念されています。需要に対する供給力の余裕を示す「予備率」が1パーセントを切る見通しで、もしそこで突発的な発電所の事故や故障が起きれば予備率はさらに低下、マイナスに陥りかねません。大規模停電のリスクについて、東京電機大学名誉教授の加藤政一氏に聞きました。
2026/02/12
-
-
-
海外危機管理マニュアルの作成が急務
海外に社員を送り出す企業にとって、緊急事態が発生した際の対応体制は必須。どんなに現地に慣れたベテランでも、自分の身を守り切れない事態は起き得ます。ましてや現在は安全保障上の国家対立が深まり、東アジアの緊張も高まっている時代。海外危機管理サービスを手がける安全サポートの有坂錬成代表取締役に、海外進出企業が取り組むべき対策を聞きました。
2026/02/05








※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方