「応急仮設住宅」の入居条件はかならずしも一律ではありません

災害救助法が適用されると、住宅が全壊、全焼、流出などした場合で、自らの資力では住宅を得ることができない世帯に対し「応急仮設住宅」が提供されます。応急仮設住宅には「建設型応急住宅」と「賃貸型応急住宅」があります。

建設型応急住宅は簡易な仮住まい住宅を実際に建設するもので、入居期間は原則2年です。東日本大震災や熊本地震のように「特定非常災害特別措置法」が適用された災害では、2年経過後も、1年以内の延長ができます。東日本大震災では1回目の延長後にさらに再延長を繰り返す特別法がつくられてきました。

賃貸型応急住宅は「みなし仮設住宅」と呼ばれているもので、都道府県が既存の住宅や部屋を借り上げたうえで、被災者に提供するものです。どのような手順で住まいを探し、入居手続きを行えばよいのかは、自治体の窓口で必ず確認してください。

このほか高齢者・障害者などが、老人居宅介護事業等を利用しやすい構造・設備を備えた「福祉仮設住宅」を自治体が建設する場合もあります。熊本地震の際には、障害者の方がいる家族が「福祉避難所」の入居受付情報を知らなかったばかりに、車中泊を継続して命の危険にまで及んだ事例も報告されています。かならず自治体の窓口で福祉避難所の情報がないかを確認してください。

仮設住宅への入居を希望する場合には、自治体の窓口に申請をする必要がありますので、受付の開始や時期を見逃すことがないように注意しましょう。また、一定収入以上の世帯は利用できないこともあります。しかし、大規模な災害では所得要件が撤廃されることもありますので、つど自治体の窓口に問い合わせる必要があります。

法律上は、自宅が「全壊」などした場合にのみ応急仮設住宅を提供すると記載されています。しかし、過去の大災害では、家屋が無傷でも、土砂崩れや地盤損傷によって居住の危険がある場合、インフラの断絶で十分な生活ができない場合、余震などへの精神的な不安が強く自宅にいることができない場合など、様々なケースで応急仮設住宅を提供してきました。

諸事情で避難所に入らずに自宅で被災後の生活を送っていたとしても、法律上、入居が一律に拒否されるわけではありません。窓口に入居希望と理由をしっかり伝えるようにしましょう。また、弁護士等の相談を受けることで、入居できる要件を確認しておくこともお勧めします。

(了)