2017/03/07
防災・危機管理ニュース

今後予想される首都直下地震や、南海トラフ地震等に対して、都市災害を軽減することを目的に2012年から始まった研究開発プロジェクト「都市の脆弱性が引き起こす激甚災害の軽減化プロジェクト」の最終成果報告会が、3月14日、東京大学安田講堂で開催される。
http://shuto.eri.u-tokyo.ac.jp/seika.html
我が国の観測史上最大のマグニチュード(M)9を記録した東北地方太平洋沖地震は、広範囲にわたる大きな揺れ、大津波をもたらし、大規模な津波災害と原子力発電所の事故をはじめとする未曾有の広域複合災害を引き起こした。この地震は、長時間にわたる長周期地震動やM7を超える大余震が広域で繰り返し発生するなど、これまでとは異なる地震像と新たな地震災害像を示すとともに、特に首都圏においては、広域の液状化、多数の帰宅困難者、交通機関の麻痺、事業活動の停止、電力やライフラインの途絶、等々、都市特有の多くの課題が顕在化し、今後の大地震に対する備えの重要性が改めて認識された。
同プロジェクトは、東日本大震災を教訓として、今後予想される首都直下地震や、東海・東南海・南海地震等に対して、都市の災害を可能な限り軽減することを目的に、①首都直下地震の地震ハザード・リスク予測のための調査・研究、②都市機能の維持・回復のための調査・研究、③都市災害における災害対応能力の向上方策に関する調査・研究の3つのサブプロジェクトに分けて実施された。今回の成果発表会は、これら3つのプロジェクトの集大成になる。
東大平田教授、京大中島教授、防災科研林理事長らが発表
当日は、内閣府官房審議官(防災担当)の緒方俊則氏が『わが国の地震対策について』をテーマに講演。続いて、サブプロジェクト①について東京大学地震研究所教授の平田直氏が、サブプロジェクト②について京都大学防災研究所教授の中島正愛氏が、サブプロジェクト③について国立研究開発法人防災科学技術研究所理事長で京都大学防災研究所特任教授の林春男氏が報告。第2部では、「超スマート社会(Society5.0)における防災・減災のあり方と実現に向けて」をテーマにしたパネルディスカッションを行う。
参加費は無料で定員600人。申し込みは下記ホームページより。
http://shuto.eri.u-tokyo.ac.jp/seika.html
■主催:東京大学地震研究所・京都大学防災研究所・文部科学省
■日時:2017年3月14日(火) 13時~17時 (開場12時00分)
■場所:東京大学安田講堂 安田講堂
■参加費:無料
■定員:600名
■プログラム
第一部:講演会
・基調講演『わが国の地震対策について』
内閣府 官房審議官(防災担当) 緒方 俊則
・サブプロジェクト①
『首都直下地震の姿とその影響』
東京大学 地震研究所 教授 平田 直
・サブプロジェクト②
『都市施設の崩壊余裕度と健全度判定』
京都大学 防災研究所 教授 中島 正愛
・サブプロジェクト③
『大規模被害の発生を前提とした災害からの回復力の向上』
国立研究開発法人 防災科学技術研究所 理事長
京都大学 防災研究所 特任教授 林 春男氏
・特別講演①
『理研AIPセンターにおける防災・減災研究の取り組み』
国立研究開発法人 理化学研究所革新知能統合研究センター 副センター長 上田 修功
・特別講演②
『災害時におけるビッグデータを活用した防災分析』
ソフトバンク株式会社 ビッグデータ戦略本部 本部長
株式会社Agoop 代表取締役社長 兼 CEO 柴山 和久
第二部:パネルディスカッション
『超スマート社会(Society5.0)における防災・減災のあり方と実現に向けて』
司会: 前川 宏一 氏(東京大学大学院工学系研究科 教授)
パネリスト:
緒方 俊則 氏(内閣府 官房審議官(防災担当))
上田 修功 氏(国立研究開発法人理化学研究所 革新知能統合研究センター 副センター長)
柴山 和久 氏(ソフトバンク株式会社 ビッグデータ戦略本部 本部長/株式会社Agoop 代表取締役社長 兼 CEO)
平田 直 氏 (東京大学地震研究所 教授)
中島 正愛 氏(京都大学防災研究所 教授)
林 春男 氏(国立研究開発法人防災科学技術研究所 理事長/京都大学防災研究所 特任教授)
(了)
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