2020/02/27
危機管理担当者が最低限知っておきたい気象の知識
ステップ4:統計期間を見る
「観測史上1〜10位の値(年間を通じての値)」が出てくるので、まずは右端の「統計期間」を見てみましょう。下の東京都世田谷の場合は1975年1月から現在までのものと、2009年3月から現在までのものがあります。評価の仕方ですが、統計期間は30年以上あるかないかが一応の目安で、30年未満の場合は統計期間が長くあるものよりも簡単にトップ10の数字が変わる可能性があると認識しておきましょう。
ステップ5:日降水量を確認して地域の雨の特性を知る
改めて「観測史上1〜10位の値(年間を通じての値)」の表を見ます。さまざまな要素で統計値が順位づけされていますが、便宜上、ここでは「日降水量」を利用していきます。
「日降水量」というのはある一日に降った雨の合計値です。上図の世田谷を例にすると、1位は2019年10月12日の253.5ミリとなります。その記録的な大雨は日付を見ていただければピンとくるかもしれませんが、令和元年の台風19号(令和元年東日本台風)によってもたらされました。その時点までの1位(現在の2位)は236ミリであったので、台風19号の雨が歴代の記録を更新するような大雨だったということが記録からも見て取れます。「日降水量」の2位以下の数字を見ると200ミリ台の数字が並び、10位の値は177.0ミリです。
これらの数字を見ながら、次の観点で自問してみます。
2. どの程度の雨量からトップ3を塗り替えてくるか?
3. 観測史上1位を塗り替える雨量とはどのレベルか?
上記の3つの質問に答えることで、世田谷で1日に降る雨について次のような理解を得ることができます。
(1)170〜200ミリ前後の雨の場合はこれまでのトップ10に食い込んでくる大雨である
(2)230ミリ台を超えれば歴代トップ3の記録を塗り替える雨である
(3)253.5ミリを超えるのであれば観測史上を塗り替える雨であり、しかも令和元年台風19号の大雨を超える降り方である
上記の理解はあくまで目安であり厳密なものではありません。しかし、実用には十分に足ります。
例えば「世田谷で1日に280ミリの雨量」になりそうだという情報を得たときに、何も予備知識がなければその数字が持つ重みに気付かない可能性もありますが、上記の理解があるだけでもその深刻性が評価・認識できます。実際に大雨が降っているときには、次にご紹介するツールを使って日降水量がどの程度に達しているのか確認します。
危機管理担当者が最低限知っておきたい気象の知識の他の記事
おすすめ記事
-
令和8年熊本地震 猛暑の被災地で熱中症を避ける
最大震度7を記録した令和8年熊本地震。熊本県内では400超の避難所が開設され、約9千人が避難している(29日時点)。真夏の避難生活は、熱中症の危険性を確実に高める。しかもこれからは、猛暑・酷暑下での復旧活動が本格化し、多くの人々が被災地で活動する。現地で熱中症をどう防いだらいいか。熱中症と災害医療に詳しい、さいたま赤十字病院高度救命救急センターの席 望医師に対策を聞いた。
2026/07/30
-
令和8年熊本地震 広がるデマ、どう見分ける?SNSとの向き合い方
28日に発生した最大震度7を記録した熊本地震では、早くも豪華寝台列車「ななつ星」が脱線したなどのデマ情報が広く拡散された。災害のたびに、広くSNSで拡散される情報にどう向き合えばいいか。デジタル空間の情報分析を専門とする Japan Nexus Intelligence の竜口七彩氏に聞いた。
2026/07/29
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/07/28
-
-
事例研究で有事に備え、組織の体質改善で形骸化を防ぐ
組織レジリエンスの強化やサイバーセキュリティーの向上、サプライチェーンの強靭化など、危機管理やリスク管理担当者が関与する領域は年々拡大している。変化する社会状況にあわせ、担当者はどのように学び、備え、対応することが求められるのか。森総合研究所代表の森健さんは、自治体と企業で危機管理担当者としての経験を積み、現在はコンサルタントとして、企業や団体の危機管理の支援を手がけている。自身の経験を踏まえ、危機管理の担当者にどうアドバイスしているのか、話を聞いた。
2026/07/27
-
-
-
-
-







※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方