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□事例:感染症のBCPはどうすべきか

国内の新型コロナウイルスの感染拡大が続いています。2月27日時点で感染者数は186名(クルーズ船の感染者を除く)、死亡者数は3人となりました(厚労省発表)。2月25日に政府は新型コロナウイルス対策の基本方針を発表。手洗いやせきエチケットなどの一般感染対策の徹底と同時に、企業に対してはテレワークや時差出勤の推進が呼びかけられました。また、大規模なイベントに対して「開催の必要性を改めて検討するよう要請」したことにより、Jリーグやラグビートップリーグの試合の延期、プロ野球オープン戦やJRA(中央競馬)は無観客での開催が決定されるなど、その影響も大きくなってきています。

企業のリスクマネジメント担当部門の責任者であるAさんは、昨今のコロナウイルス感染拡大のニュースを見るにつれ、こう思っています。

「わが社では数年前にBCPを策定したが、想定リスクは地震にしている。感染症のBCPも必要だとは思っていたけれど、日本はとにかく自然災害の多い国なので、まずは地震の発生時に対応するためのBCPを優先し、感染症は後回しにしていた。中核事業は地震だろうと感染症だろうと変わらないと思うが、目標復旧時間などはどう捉えたらいいのか? 感染症は被害の期間が長期化すると言われているが、どれくらいを目安にしたらいいのか? これまでのBCPの対策としては、建物や設備の耐震化や安否確認システムの導入などを行ってきてはいるが、感染症の場合には関係ないのではないか? 備蓄品も水や食料を3日分社内に備蓄しているが、それで足りるのか? マスクや消毒液などを備蓄品に加えた方がいいと思うが、購入したくてもどこにも売っていない。

今回のことで、感染症に関するBCPも策定しておいた方かいいということは実感したけれど、この段階で始めから作っている暇はないのだか、まずは何をしておくのがいいのか?」