2020/02/28
企業をむしばむリスクとその対策
□解説:まずは感染防止策の強化、正確な情報提供
新型コロナウイルスに関する政府の基本方針の発表を受けて、企業ではさまざまな対策を検討・実施しています。感染症の発生段階として、政府は現在「第二段階(国内発生早期)」との認識ですが、これが「第三段階(感染拡大期、まん延期)に移行してしまうのかは、この1~2週間が瀬戸際であるとの見解を示しました。
企業として、まずは感染防止策の強化を行う必要があります。(表1)

同時に、社員への正確な情報提供を行う必要があるでしょう。
政府の基本方針に「症状が軽度である場合は、自宅での安静・療養を原則とする」とあることに対し、「ウイルスに感染しても病院に行ってはいけないのか?」という批判がありますが、これは「感染していることが分かっても、現在、軽症者に対する治療が何もない」という理由によるものです。今後、今回のウイルスに対するワクチンが開発されれば状況は変わるでしょうが、現状は病院にも打つ手がありません。病院は重症者に対しては「人工呼吸器などの集中治療を行う」「試験的な薬を投与する」などの方策を取る必要があり、軽症者が押し掛けることにより「助かる命が助けられなくなる」ことが起こってはならないのです。
また、今後の注意点としてクラスター(集団)感染が挙げられますが、政府の専門家会議メンバーでもある東北大学院の押谷仁教授によれば「今の日本で一番クラスター感染が起こると考えられる場所は病院。待合室で多くの人が長時間滞在するのは、感染の可能性を非常に高いものにする」との意見もあり、今回のウイルスは(特に若年者は)軽症で終わるケースが多いという事実とともに、慌てて病院に行くことはむしろリスクが高いということも周知しておくべきかもしれません。
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