トランプ政策、波乱はまだまだこれからです。(※写真はイメージです)

デロイト トーマツ 企業リスク研究所は28日、2017年3月分の海外リスクを紹介した。同研究所主席研究員の茂木寿氏は「トランプ氏によって、2010年にオバマ政権下で成立した金融規制改革法(ドッド・フランク法)の大幅な修正などを盛り込んだ金融選択法案(規制緩和)が4月末に下院本会議へ送付される予定。金融規制緩和により、米ドルが乱高下する可能性がある」と話す。

ドッド・フランク法(ドッド=フランク・ウォール街改革・消費者保護法)は2010年7月にバラク・オバマ大統領により署名され成立した法案。リーマンショックなどの大不況を受けて制定されたもので、デリバティブ取引の透明性向上や消費者保護政策を強化した。米国の金融規制に対して、1929年の世界大恐慌後の規制改革以来の最も重要な変化をもたらしたと言われている。

トランプ氏はこの法案を大幅に修正。金融商品取引を活発化させ、米国内の経済を活性化させたい考えだ。しかし茂木氏は「短期的にはドル調達コストが上がるが、中長期的には大型融資の焦げ付きなどが発生し、かえって銀行の貸し出し規制が改めて強化され、結果的に日系企業の事業における資金調達にも影響する可能性がある」とする。

同氏が指摘する、企業へのリスクを軽減するために確認するべきポイントは以下。

1、 グループ全体、あるいは各国拠点における事業戦略・計画の策定や、月次/四半期などの頻度での事業の余日管理のモニタリングにあたって、ドル調達コストが増加するリスクやその影響を評価しているか。

2、多額の資金調達を前提とした事業(投融資や新工場設立など)について、ドル調達コストの増加や資金調達が困難となった場合を見込み、コンティジェンシープラン(緊急時対応計画)を検討しているか。

3、ドル調達コストの増加による資金繰りの悪化に伴い、サプライヤーや取引先の事業遂行能力が低下した場合に備え、とるべきアクションを検討しているか。

4、(上記1~3を通じ)資金調達コストの増加によるリスクの変動やグループ全体の事業への影響について、定期的に評価する社内の仕組みを整備しているか。

5、上記4で評価したリスクについて、関係する事業・国内外拠点や日本本社の経営陣へ報告する仕組みは整備されているか。

 

(了)