2020/03/15
WITHコロナのBCP
リスク対策.comは、新型コロナウイルスへの企業の対応状況を明らかにするため、第3弾となる緊急アンケート調査を実施した。その結果、2月17日~21日まで行った第2弾の調査時に比べ、あらゆる対策が飛躍的に強化されていることが分かった。一方で、事業への影響は深刻化しており、売上の減少ばかりか、社内活動や社内コミュニケーションにまで影響が及んでいることが明らかになった。
アンケートの対象は、リスク対策.comのメールマガジン購読者で、組織の総務またはBCPに携わる人とし計414の回答を得た。このうち、個人事業者や、同一組織からの重複回答、組織名が未記入の回答などを除き、376を有効回答として分析した。
回答者の所属組織(以下、回答組織)の規模は500人以上が約半数を占め、業種別では製造業が最も多かった。
アンケートではまず、新型コロナウイルスの事業への影響について聞いた。その結果「まったく影響を受けていない」はわずか2%で、実に97%もの企業が何らかの影響を受けていることが明らかになった。最も回答が多かったのは「少し影響を受けている(行動が制限される程度)」(41%)だが、「年間計画に影響しないがかなり受けている」と「年間計画に大きく影響するぐらい影響を受けている」を足すと50%を超す。2月25日に政府が基本方針を発表する直前に行った前回調査に比べると、「まったく影響を受けていない」「少し影響を受けている」との回答が減少した一方で、「年間計画には影響しないがかなり受けている」「年間計画に大きく影響するぐらい受けている」が大幅に増加しており、影響が深刻化していることが裏付けられた。
具体的に影響を受けている項目について、「1.まったく当てはまらない」「2.少しだけ当てはまる」「3.ある程度当てはまる」「4.かなり当てはまる」の4段階から最もあてはまるものを選んでもらったところ、国内・海外への出張制限が2.9と最も高くなった。
前回調査と比べると、国内出張の制限がここ1カ月足らずで急激に進んだことが浮き彫りになった。また、前回調査でそれほど大きな影響がないとされていた「社内活動の縮小」や「社内コミュニケーションの低下」についても影響が顕在化しつつあることが明らかになった。
現在行っている対策については、「従業員への対策」「業務上の対策」「職場・施設における対策」「体制面の整備」「対応計画の策定」「教育・訓練」の各テーマに分けて、全31項目について、実施レベルを「1.特に何も考えていない」「2.実施する予定だが何もできていない」「3.実施しているが徹底できていない」「4.徹底して実施している」の4段階で聞いた。その結果、31項目すべてについて前回調査より実施レベルが高まっており、特にテレワークや時差出勤、イベントの参加や主催の自粛・禁止、国内外の出張の自粛・禁止といった項目が飛躍的に実施レベルが高まっていることが分かった。
アンケートではまた、現状の対策をあとどの程度の期間維持できるかについても質問。その結果、多くの項目について「あと数カ月」を限界とする回答が多かった。一方で、時差出勤については「1年以上可能」とする回答も30%を超えた。在宅・テレワークについては「1年以上可能」とする回答は17%にとどまり、定着には課題があることもうかがわせる結果となった。
調査結果は、次ページからダウンロード可能。
WITHコロナのBCP の他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2023/01/31
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2023年1月31日配信アーカイブ】
【1月31日配信で取り上げた話題】家庭での防災行動を高めるために
2023/01/31
-
-
1000人に聞いた防災の取り組みと行政への期待
リスク対策.comは、地域住民がどの程度防災に取り組んでいるのか、また防災の観点から行政に対してどのような要望を持っているのかなどを把握する目的でインターネットによるアンケート調査を実施した。その結果、2021年5月から避難勧告が廃止され避難指示に一本化されたことについては約5割しか理解していないことや、平時から国や地方自治体の防災のホームページなどがあまり活用されていない実態が明らかになった。調査は、2022年11月21日から22日にかけてインターネット上で行い、全国の20歳以上の成人男女1000人からの回答を得た。質問は、回答の質を高めるため「この質問は一番右の回答をお選びください」という条件項目を入れ、適切な回答をしなかったものを除き、計889人を有効回答として分析した。
2023/01/30
-
社内滞在時をイメージさせる実践的な訓練と備蓄
テクニカルセラミックスを開発・生産するクアーズテックは2012年、東京都の帰宅困難者対策条例を機に一斉帰宅抑制対策に乗り出しました。独自のプログラムを追加した実効性の高い訓練や被災時の心理にも配慮したきめ細かな備蓄が評価され、2021年には東京都のモデル企業に。同社の取り組みを紹介します。
2023/01/29
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2023年1月24日配信アーカイブ】
【1月24日配信で取り上げた話題】最強寒波への備え
2023/01/24
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2023年1月17日配信アーカイブ】
【1月17日配信で取り上げた話題】防災心理を学ぶゼミ生が制作した企業の防災マニュアル/コロナ発生から3年 企業の初動対応を振り返る
2023/01/24
-
BCPと助け合える関係が機能した災害復旧活動
2019年の台風19号でグループ含め3工場が壊滅的被害を受けたカイシン工業は、経営トップが「全力復旧」の方針を発表すると各工場が即座に活動を開始。取引先や協力会社の支援を受けて設備の交換を迷いなく進めるとともに、代替生産によって早期に出荷を再開しました。同社のBCPと助け合える関係づくりを紹介します。
2023/01/19
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方