茂木氏は北朝鮮問題など日本企業を取り巻くリスクを説明

デロイト トーマツは26日、「グローバルビジネスリスク記者勉強会」を開催。デロイト トーマツ企業リスク研究所主席研究員の茂木寿氏が北朝鮮のミサイル発射のほか、日本での働き方改革や日本企業の海外事業におけるリスクについて解説した。

北朝鮮問題について茂木氏は今年に入り4回、2016年は少なくとも13回の弾道ミサイルを発射しているほか、2016年に2度の核実験をしていることをふまえ「北朝鮮は米国大統領選の年と翌年の任期1年目はミサイル発射や核実験を多く行う傾向にある」と説明。戦争への直結は考えにくいとしながらも、緊張関係は継続するのではとの見方を示した。企業への影響の軽減へ避難計画や安全管理、BCP(事業継続計画)などが重要だとした。

働き方改革では長時間労働で従業員に悪影響が出た場合、従業員や家族からの訴訟リスクや社会的評価の低下といったリスクがあると指摘。正規労働者と非正規労働者の役割・責任、業務範囲、評価基準の整理のほか、非正規の正規化を想定し財務を計算することなどを影響軽減のポイントとしてあげた。また人口減が続く中、茂木氏は「外国人労働者の受け入れも議論となるだろう」と述べた。

日本企業の海外事業リスクでは、最近相次いでいるM&Aによる損失について分析。「関係者の話によると、M&Aの成功確率はよくても3割程度」とその難しさを説明。買収先の管理能力など自社の事業遂行能力を過信のほか、デューデリジェンスの期間が短い、もしくは買収ありきで行い甘くなりがちなことを失敗の要因として挙げた。ポイントとして買収先からの情報報告の仕組み作りやうまくいかなかった際の撤退基準の明確化のほか、茂木氏は「買収元の日本企業と買収先のトップ同士の信頼関係が重要」と述べた。

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