2017/05/17
ランサムウェアと最新セキュリティ情報
標的型攻撃メールでよく悪用されるのが取材や講演の依頼、入学や就職の問い合わせ。また製品への問い合わせやクレームを装うこともあります。公的機関や製品ベンダからの注意喚起を偽装することもよく使われます。
ピンポイントで個人を狙うときには、相手に合わせてテーマを変えることがほとんど。送信先のメールアカウントや文面だけでなりすましを見抜くことは難しいので、添付ファイルやURLのリンク先を確認する。金銭目的のスパムメールも巧妙化し、標的型攻撃メールと見分けづらくなっています。この場合は検索サイトを活用し、件名や差出人のメールアドレス、添付ファイル名などを検索することで既知のスパムと判明することもあります。
添付されているファイルから標的型攻撃メールを見分けるには、1つはファイルの詳細を見る。ファイルの末尾が「.exe」であるか確認しましょう。あえて長いファイル名を使い「.exe」を隠すケース、RLOを使い「rcs.doc」と表示させて偽装するケースもあります。アイコンも改変できるので、アイコンだけで判断しないでください。

最近は、セキュリティ対策で「.exe」などの実行ファイルをはじく設定にされている方も多いですが、ワードファイルの中に「.exe」が仕込まれることもあります。ファイルの本文中に不審なファイルが挿入されている場合も、クリックせず情報提供にご協力ください。標的型攻撃で使われるウイルスは対策ソフトで検出できないケースも多く、攻撃者が目的を遂行した後にも感染したままで延々と通信し続ける例もあります。過去に怪しいファイルをクリックした記憶がある人は今からでも遅くはないので管理者に相談してください。
では、ウイルスに感染したらどうするか。諸説ありますが、最低限まずはLANケーブルを抜く。初期化は、証拠保全も関わるので組織内で慎重な判断が必要です。ファイヤーウォールなどで外向け通信の制御には、IPアドレスだけの遮断やFQDNだけの遮断ではなく併用も検討してください。IPアドレスは変動するので、両方の管理が重要です。また、通信やサーバ機器などを含めてログの保存、特にクライアントの操作ログが取れるとベターです。ユーザ認証が可能なプロキシサーバを導入することで意図しない通信のコントロールが可能になります。
なりすましなどの一部例はIPAのサイトにも公表されています。下記サイトを参考にしてください。
https://www.ipa.go.jp/security/technicalwatch/20150109.html
標的型攻撃はターゲットが絞られるため、知見が非常に集まりづらいものです。国全体での活用・対策を目的として、IPAへ情報提供いただければ幸いにございます。
(了)
- keyword
- ランサムウェア
- サイバー攻撃
- サイバーセキュリティ
ランサムウェアと最新セキュリティ情報の他の記事
おすすめ記事
-
「自分の安全は自分で」企業に寄り添いサポート
海外赴任者・出張者のインシデントに一企業が単独で対応するのは簡単ではありません。昨今、世界中のネットワークを使って一連の対応を援助するアシスタンスサービスのニーズが急上昇しています。ヨーロッパ・アシスタンス・ジャパンの森紀俊社長に、最近のニーズ変化と今後の展開を聞きました。
2025/08/16
-
白山のBCPが企業成長を導く
2024年1月1日に発生した能登半島地震で震度7を観測した石川県志賀町にある株式会社白山の石川工場は、深刻な被害を受けながらも、3カ月で完全復旧を実現した。迅速な対応を支えたのは、人を中心に据える「ヒト・セントリック経営」と、現場に委ねられた判断力、そして、地元建設会社との信頼関係の積み重ねだった。同社は現在、埼玉に新たな工場を建設するなどBCPと経営効率化のさらなる一体化に取り組みはじめている。
2025/08/11
-
三協立山が挑む 競争力を固守するためのBCP
2024年元日に発生した能登半島地震で被災した三協立山株式会社。同社は富山県内に多数の生産拠点を集中させる一方、販売網は全国に広がっており、製品の供給遅れは取引先との信頼関係に影響しかねない構造にあった。震災の経験を通じて、同社では、復旧のスピードと、技術者の必要性を認識。現在、被災時の目標復旧時間の目安を1カ月と設定するとともに、取引先が被災しても、即座に必要な技術者を派遣できる体制づくりを進めている。
2025/08/11
-
アイシン軽金属が能登半島地震で得た教訓と、グループ全体への実装プロセス
2024年1月1日に発生した能登半島地震で、震度5強の揺れに見舞われた自動車用アルミ部品メーカー・アイシン軽金属(富山県射水市)。同社は、大手自動車部品メーカーである「アイシングループ」の一員として、これまでグループ全体で培ってきた震災経験と教訓を災害対策に生かし、防災・事業継続の両面で体制強化を進めてきた。能登半島地震の被災を経て、現在、同社はどのような新たな取り組みを展開しているのか――。
2025/08/11
-
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/08/05
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/08/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方