2017/06/14
防災・危機管理ニュース
![](https://risk.ismcdn.jp/mwimgs/6/3/670m/img_634a97ce4c85b9b49bf40eb69767cbd665843.jpg)
消防庁は2月の埼玉県三芳町でのアスクル倉庫火災を踏まえ、大規模倉庫火災の対策の方向性を固めた。各地の消防本部が管轄区域の倉庫を把握。倉庫ごとに警防計画を策定し訓練することなどを盛り込まれた。14日の自由民主党・消防議員連盟(会長:古屋圭司・衆院議員)総会で報告された。今月開催予定の消防庁と国土交通省による有識者会議で対策としてとりまとめる予定。
方向性では初動や防火シャッターの閉鎖、消火活動について示した。アスクル火災では初動で屋外消火栓設備の使用でポンプの起動操作が行われなかったり、火災発生を確認してすぐに119番通報が行われなかったりした。このため通報や消火栓設備を使った消火訓練、避難訓練を定期的に行うよう指導していく。
アスクル倉庫では電線のショートなどで2~3階の防火シャッターの約6割が閉まらなかった。このため感知器と電線の接続部分について導線に耐火テープを巻く際は2本束ねるのでなく、個別に巻く、感知器上の天井裏にある露出ボックスに熱が伝わらないように耐火性のある天井材を使用したり、天井貫通孔を耐火パテで穴埋めしたりといった対策が効果的とした。
また一定の面積で断路器を設置し、ショートの影響をできるだけ狭める、スプリンクラーで電線の過熱を抑える、アナログ感知器をショートが発生すれば防火シャッターを降下させる信号を送る一般感知器に変更していくことも有効と指摘している。
消防活動では屋外から早期に消防隊が進入できる経路の確保、各消防本部が管轄区域内にある大規模倉庫を把握し、倉庫ごとに警防計画を策定し関係機関と連携し訓練すること、大規模倉庫での消防活動について各消防本部の消防力をふまえた活動要領を策定すること、外壁破壊や水利の補充で建設業界団体との協定締結が重要としている。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
3線モデルで浸透するリスクマネジメントコンプライアンス・ハンドブックで従業員意識も高まる【徹底解説】パーソルグループのERM
「はたらいて、笑おう。」をグループビジョンとして掲げ、総合人材サービス事業を展開するパーソルグループでは、2020年のグループ経営体制の刷新を契機にリスクマネジメント活動を強化している。ISO31000やCOSO-ERMを参考にしながら、独自にリスクマネジメントの体制を整備。現場の業務執行部門(第1線)、ITや人事など管理部門(第2線)、内部監査部門(第3線)でリスクマネジメントを推進する3線モデルを確立した。実際にリスクマネジメント活動で使っているテンプレートとともに、同社の活動を紹介する。
2024/07/23
-
インシデントの第一報を迅速共有システム化で迷い払拭
変圧器やリアクタなどの電子部品や電子化学材料を製造・販売するタムラ製作所は、インシデントの報告システム「アラームエスカレーション」を整備し、素早い情報の伝達、収集、共有に努めている。2006年、当時社長だった田村直樹氏がリードして動き出した取り組み。CSRの一環でスタートした。
2024/07/23
-
「お困りごと」の傾聴からはじまるサプライヤーBCM支援
ブレーキシステムの開発、製造を手掛けるアドヴィックスは、サプライヤーを訪ね、丁寧に話しを聞くことからはじまる「BCM寄り添い活動」を2022年度から展開している。支援するのは小規模で経営体力が限られるサプライヤー。「本当に意味のある取り組みは何か」を考えながら進めている。
2024/07/22
-
-
危機管理担当者が知っておくべきハラスメントの動向業務上の指導とパワハラの違いを知る
5月17日に厚生労働省から発表された「職場のハラスメントに関する実態調査報告書」によると、従業員がパワハラやセクハラを受けていると認識した後の勤務先の対応として、パワハラでは約53%、セクハラでは約43%が「特に何もしなかった」と回答。相談された企業の対応に疑問を投げかける結果となった。企業の危機管理担当者も知っておくべきハラスメントのポイントについて、旬報法律事務所の新村響子弁護士に聞いた。
2024/07/18
-
基本解説 Q&A 線状降水帯とは何か?集中豪雨の3分の2を占める日本特有の現象
6月21日、気象庁が今年初の線状降水帯の発生を発表した。短時間で大量の激しい雨を降らせる線状降水帯は、土砂災害発生を経て、被害を甚大化させる。気象庁では今シーズンから、半日前の発生予測のエリアを細分化し、対応を促す。線状降水帯研究の第一人者である気象庁気象研究所の加藤輝之氏に、研究の最前線を聞いた。
2024/07/17
-
-
災害リスクへの対策が後回しになっている円滑なコミュニケーション対策を
目を向けるべきOTリスクは情報セキュリティーのほかにもさまざま。故障や不具合といった往年のリスクへの対策も万全ではない。特に、災害時の素早い復旧に向けた備えなどは後回しになっているという。ガートナージャパン・リサーチ&アドバイザリ部門の山本琢磨氏に、OTの課題を聞いた。
2024/07/16
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方