2017/06/29
防災・危機管理ニュース

気象庁は28日、長周期地震動に関する情報検討会の「多様なニーズに対応する予測情報検討ワーキンググループ(WG)」第2回会合を開催した。想定される長周期地震動の情報をタイミングによってカテゴリー(C)1~3に分類。C1は気象庁の予報・警報、C2を民間事業者の作成・配信、C3をリアルタイムの観測情報とする。
気象庁は長周期地震動について階級3~4については緊急地震速報に含めて発信する方針を固め、2018年度以降に運用を開始する。長周期地震動は高層ビルごとの立地や階数で与える影響が異なることから、気象庁は階級情報を民間予報事業者に提供。民間事業者が精査したうえで、デベロッパーやビル管理者、テナントといった長周期地震動に関する情報を求める相手に提供できるようにする計画。
この日の会合では長周期地震動の情報をC1~3に分類。C1は階級情報など気象庁の発表情報。C2は民間事業者による揺れの予測で、標準的なビルのほか個別ビルの構造や立地のデータも基に影響を予測。C3は個別ビルのフロアやその地点周辺での観測データ。数字が大きくなるほど情報は精緻だが、情報がわかってから対応が取れる猶予時間は少なくなる。このため、「違うカテゴリーの情報を組み合わせることは重要」といった意見が寄せられた。
また気象庁と防災科学技術研究所が共同で実験を行うことも報告された。実験は2種類。1つは高層ビル関係者を実験参加者とし、気象庁が防災科研に震源データを提供し、ビルの立地や構造を考慮し個別ビルの揺れを予測し実験参加者に伝える。標準的なビルの予測も算出し伝える。
もう1つは、日本地図上にメッシュごとの長周期地震動予測データと防災科研観測点の観測データを重ね合わせてサイトに公開。一般から3000人程度の参加者を募集し、閲覧可能なIDを付与する。参加者にはアンケートに回答してもらう。気象庁と防災科研では早ければ今秋から実験を開始し、2018年度末には終了させる計画。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
組織の垣根を越えるリスクマネジメント活動
住宅建材・設備機器メーカー大手の株式会社LIXILHOUSING TECHNOLOGYは「体系化」「情報」「活動」の3軸をベースにリスクマネジメントを展開。重点活動の一つが、自然災害リスクに対する対応力向上活動です。災害による被害の最小化は住宅建材設備を供給する者の責任と位置付ける同社の取り組みを紹介します。
2023/03/19
-
コカ・コーラにおけるリスクマネジメントERMとリスク対応計画の枠組み
ザ コカ・コーラ カンパニーは、ビジネスにおいて何らかのリスクが発生し悪影響を及ぼす可能性があることを認識し、それらに対処するプロセスを展開しています。日本においても、日本コカ・コーラをはじめ全国のコカ・コーラボトラーズ各社と連携を図っています。包括的企業リスク管理(ERM)プログラムによって、ビジネスに破壊的な影響を及ぼすリスクの軽減戦略を実行すると同時に、ビジネスの機会を積極的に模索しスマートにリスクをとることを可能にしています。取り組みの内容を日本コカ・コーラ株式会社 広報・渉外&サステナビリティ推進部 リスクマネジメント&クライシスレゾリューション シニアマネジャーの清水 義之さんにご発表いただきました。2023年3月14日開催。
2023/03/16
-
-
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2023年3月14日配信アーカイブ】
【3月14日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:いよいよマスク着用ルール緩和
2023/03/14
-
ダイバーシティ&インクルージョンは足元から
日本企業が「ダイバーシティ&インクルージョン」に注目する背景には、少子高齢化のなかで労働力の確保が難しくなっている状況があります。一方、地域社会も同様の課題に直面。コミュニティーを支える人材の不足から、福祉や防災の機能不全が顕在化しています。両者が抱える課題の同時解決に必要なイノベーションを考えます。
2023/03/13
-
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方