2020/05/29
日本企業が失敗する新チャイナ・リスク
■馬鹿正直に対応するのは果たして損なのか?
中国現地でもより「ずる賢い企業」は「上に政策あれば下に対策あり」を地でいくやり方で、政府要求が2度、3度と強化されるであろうことを先読みし、政府からの改善要求に真面目に対応することを回避する傾向があります。もちろん中央政府もそのことは熟知しており、対応がひどい場合は厳罰に処することも多いのですが、先んじで対応する真面目な企業への配慮が不足する面があるのも否めません。
結果、この企業では現在「さらなる削減対策方案」を作成中ではありますが、製造方法やラインの変更は最終製品の品質にも影響を与え、また製造コストにも跳ね返ってくるため、頭を抱えている状況にあります。製造方法の変更による削減が難しい場合には、原材料自体の見直しにチャレンジせざるを得ないということのようなのです。
しかし、中国ではこの企業のように真面目に政府政策に呼応し、進んで対策をとることは損なのでしょうか?日系企業に「ずる賢くすべき」と推奨したほうがよいのでしょうか?
決してそうではありません。
実は、筆者も5年ほど前までは相談を受けるたびに、苦笑いしながらも「そういうこともあります」と申しておりました。
しかし、習近平国家体制になってからの変化が国家の隅々まで浸透し、かつ「生態環境重視」政策による腐敗体質の改善と厳罰化、そして何よりも大きな変化の原動力となった「世代交代」による社会変化が「ずる賢く生きる」という文化をなき物にしつつあるのです。
中国事業に関わる方々には、この大きな変化のうねりを感じていただきたく思います。まず、日々変化する中国を客観的に感じていただきたいと願うと同時に、2020年ポストコロナ以降の新しい日常「新常態(ニューノーマル)」に即した取り組み構築を模索していただく必要があると思っております。
今後の中国は、BtoB、BtoCではなく、BtoG(対政府)が何よりも重視される時期となります。つまり、自社の取り組みをより積極的に政府当局へアピールし、勧告を行い、認証をもらい、ともに進めていくくらいの積極性が必要となっていくでしょう。
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