2020/06/07
気象予報の観点から見た防災のポイント
土砂災害警戒情報の誕生
両者連携の機運は、「土砂災害警戒情報」という新たな防災情報として2005年に結実した。筆者はその立ち上げに関わった一人である。土砂災害の危険度を判定する指標としては、砂防部局で以前から使われていた長期降雨指標と短期降雨指標を組み合わせる方法を採用し、その長期降雨指標として気象庁が開発した土壌雨量指数(地中の水分量を示す)を用いることにした。情報の形式は警戒文と説明図を組み合わせたものとし、筆者はそのデザイン原型や警戒文のひな型を作るために知恵を絞った。図6に最近の土砂災害警戒情報の例を示す。
土砂災害警戒情報は、その構想段階から、避難勧告相当の危険度を警告する情報としてデザインされた。土砂災害は人命に直結する災害であるにもかかわらず、その危険度が分かりにくいために、自治体の首長が避難勧告を発令するタイミングをつかめなかったり、住民が避難行動を起こす動機が得られなかったりする問題が従来からあった。それを何とか打破して、国民の命を救いたいというのが、土砂災害警戒情報の立ち上げに関わった者たちの一致した思いであった。
おわりに
土砂災害警戒情報が発表された場合、その対象地域の人は、土砂災害の危険が本当に差し迫っているという切迫感を抱いていただきたいと思う。決して、気楽に受け流してよい情報ではない。
自治体で、土砂災害警戒情報を受領して避難勧告の発令を判断する立場にある人は、気象庁から提供されているメッシュ情報などを活用して、勧告の対象とする領域をできるだけ絞り込んでいただきたいと思う。対象を広くした大雑把な勧告は住民の信頼を失う。住民の立場に立ち、自分の家族を避難させるつもりで、勧告は行うべきである。
土砂災害警戒情報を発表する側の人間は、判定基準が本当に適正であるかを常に検証していただきたいと思う。この種の基準は、「安全側に配慮」という理屈で低めに設定されやすいが、そのことが情報の信頼性を低めている場合があることに気づかなければならない。
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