2017/07/28
防災・危機管理ニュース

文部科学省を中心とした地震調査研究推進本部は27日、「海域観測に関する検討ワーキンググループ」第8回会合を開催。高知県沖から日向灘にかけての南海トラフ西側での海底地震・津波観測システムの整備について3つの案から将来選択するとした中間とりまとめを行った。12日の前回会合で示した説明の修正も行われた。
3つの案は1.インライン・ノードハイブリッド方式2.インライン・ノード分離方式(全域一体型)3.インライン・ノード分離方式(領域分割型)。インライン型は地震計や津波計といった観測機器を直接光海底ケーブルにつなぐ方式。ノード型は光海底ケーブルをループ状に設置し、ノードと呼ばれる水中脱着コネクターを備えた中継装置に各種計器をつなぐ。ノード型は計器の組み合わせの自由度が高いのが特徴。
インライン・ノードハイブリッド方式はインライン型とノード型を組み合わせる方式と前回説明されたが、「インライン型からノード型を分岐させる複合方式」とより具体的に説明。ケーブルの陸揚げ本数を少なくできることにも触れた。
インライン・ノード分離方式の全域一体型はインライン型を全域に、ノード型を必要な箇所に敷設する。領域分割型はインライン型を浅部と深部に、ノード型を中間部に敷設する。全域一致型はインライン型、領域分割型はノード型が中心。いずれもインライン・ノードハイブリッド方式と比較してケーブルの陸揚げ本数が増えること、領域分割型は広帯域地震計の観測点数と拡張性が充実していることを記載した。
今後、関係機関と連携し、メーカーの参画や協力も得ながら、方式を決め整備を進めていく方針。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
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