2017/08/10
防災・危機管理ニュース

東京都は10日、水上バスを運行する東京都公園協会、ヤマト運輸と共同で水上バスを利用した「客貨混載」実証実験を開始した。31日まで実施する。災害時の帰宅困難者と医療器材や救援物資の同時輸送を目指す。10日は墨田区吾妻橋船着場から明石町・聖路加ガーデン前船着場までの約6kmを約50分かけ、2つのコンテナを積み一般旅客も乗せ航行した。

実験では観光客が手ぶらで行動できるよう、荷物を預かり目的地に運ぶという想定で行われた。模擬貨物となる今回の実験のために準備したコンテナは1つあたり、スーツケースが2つ入るサイズ。実際にスーツケースをコンテナに入れ、ヤマトのスタッフが乗船し積み降ろしも行った。積み降ろしにはそれぞれ2分半ほどかかった。
三者は観光需要への対応のほか、災害時に帰宅困難者と物資の同時輸送も検討。災害時には道路の寸断が予想されるため、陸運が主体のヤマトにとっても舟運はメリットがあるほか、都や都公園協会にとっても陸運との連携、人だけでなく物資を運ぶという意味は大きいという。一方で現在の船体が貨物輸送を想定していないほか、船着場への車の乗り入れやクレーン搬入が難しいといった課題もある。
都では発災時に地元区などの要望を災害対策本部で吸い上げ、都建設局から都公園協会に帰宅困難者や物資の輸送の要請を行う想定。三者は31日まで適宜実験を実施。事業実現の可能性を検討していく。

小池百合子知事は10日の記者会見で今回の実証実験について「災害時の医療器材や救援物資などの輸送ノウハウを蓄積していく」と述べ、今後の取り組みへの期待を寄せた。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
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