2013/09/25
誌面情報 vol39
参加者は、会場内に配置されたテーブルに架空の荷主、物流業者、海貨業者、倉庫業、船社、港湾管理者、国の機関の物流担当と、グループごとに分かれ、それぞれが模擬要員となり、対応を協議しながら決めていった。
各グループには、模擬メディアからの情報に加え、いくつかの追加付与情報も配布される。例えば、荷主には「既存の首都圏の海貨業者と連絡がつかない」「倉庫業者と連絡がつかない」、陸運グループには「荷主と連絡がつかない」「被災した港湾の復旧めどがたたない」など。各グループは、追加情報が配布されると、再度、意思決定に必要な情報や対応策を検討し、決定した対応内容を紙に書き込んでいった。課題となった問題点や課題についても、色分けされた付箋に整理した。
訓練中は、不足している情報があれば、各テーブルに配置されたメール送信シートに問い合わせ内容や指示事項を記入し模擬関係機関などに問い合わせる、逆に問い合わせがあれば確認できている状況を答えるなど、情報伝達についても検証した。会場にはコントローラーと呼ばれる模擬の関係機関(国、自治体、防災関係機関、交通、ライフライン企業)が配置され、参加者から、交通状況など各組織が対応を行う上で必要な情報を聞かれると、必要に応じて状況を回答した。 訓練後は、各グループが課題や問題点を発表。「日常的に顔を合わせていないと連携ができない」「港湾との協定が必要」「日常からいろんな事態を想定していないと対応できない」などの意見が出された。
模擬的に荷主になったグループでは「あらかじめ設定した目標復旧時間がクリアできなかった。情報収集とリーダーシップの重要性を痛感した」などと話していた。 北陸地方整備局によると、10月9日には同様の訓練が名古屋会場で開催される。東京との両会場の訓練の結果を検証し、年度内には代替輸送の手引書をまとめたいとしている。
おすすめ記事
-
柔軟性と合理性で守る職場ハイブリッド勤務時代の“リアル”な改善
比較サイトの先駆けである「価格.com」やユーザー評価を重視した飲食店検索サイトの「食べログ」を運営し、現在は20を超えるサービスを提供するカカクコム(東京都渋谷区、村上敦浩代表取締役社長)。同社は新型コロナウイルス流行による出社率の低下をきっかけに、発災時に機能する防災体制に向けて改善に取り組んだ。誰が出社しているかわからない状況に対応するため、柔軟な組織づくりやマルチタスク化によるリスク分散など効果を重視した防災対策を進めている。
2025/06/20
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/06/17
-
サイバーセキュリティを経営層に響かせよ
デジタル依存が拡大しサイバーリスクが増大する昨今、セキュリティ対策は情報資産や顧客・従業員を守るだけでなく、DXを加速させていくうえでも必須の取り組みです。これからの時代に求められるセキュリティマネジメントのあり方とは、それを組織にどう実装させるのか。東海大学情報通信学部教授で学部長の三角育生氏に聞きました。
2025/06/17
-
-
入居ビルの耐震性から考える初動対策退避場所への移動を踏まえたマニュアル作成
押入れ産業は、「大地震時の初動マニュアル」を完成させた。リスクの把握からスタートし、現実的かつ実践的な災害対策を模索。ビルの耐震性を踏まえて2つの避難パターンを盛り込んだ。防災備蓄品を整備し、各種訓練を実施。社内説明会を繰り返し開催し、防災意識の向上に取り組むなど着実な進展をみせている。
2025/06/13
-
「保険」の枠を超え災害対応の高度化をけん引
東京海上グループが掲げる「防災・減災ソリューション」を担う事業会社。災害対応のあらゆるフェーズと原因に一気通貫の付加価値を提供するとし、サプライチェーンリスクの可視化など、すでに複数のサービス提供を開始しています。事業スタートの背景、アプローチの特徴や強み、目指すゴールイメージを聞きました。
2025/06/11
-
-
その瞬間、あなたは動けますか? 全社を挙げた防災プロジェクトが始動
遠州鉄道株式会社総務部防災担当課長の吉澤弘典は、全社的なAI活用の模索が進む中で、社員の防災意識をより実践的かつ自分ごととして考えさせるための手段として訓練用のAIプロンプトを考案した。その効果は如何に!
2025/06/10
-
-
緊迫のカシミール軍事衝突の背景と核リスク
4月22日にインド北部のカシミール地方で起こったテロ事件を受け、インドは5月7日にパキスタン領内にあるテロリストの施設を攻撃したと発表した。パキスタン軍は報復として、インド軍の複数の軍事施設などを攻撃。双方の軍事行動は拡大した。なぜ、インドとパキスタンは軍事衝突を起こしたのか。核兵器を保有する両国の衝突で懸念されたのは核リスクの高まりだ。両国に詳しい防衛省防衛研究所の主任研究官である栗田真広氏に聞いた。
2025/06/09
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方