2020/07/03
事例から学ぶ
コロナ禍は避難所の環境を改善する好機
職員の誰もが行動できる体制づくり
最初に庁舎にやって来る職員がベテランとは限らない。しかし、誰であってもまずすべきことは安全確認。建物のどこをどのように点検すればいいのか、手順とチェックポイントが写真付きでまとまっていれば、1年目の職員でも対応できる。
「災害直後の混乱はある意味で織り込み済み。浮き足立たないためには、具体的な指示が必要です。『君はこれをする』『あなたはこれをする』と。単に『がんばってくれ』の掛け声では人は動けない」と今石氏。それがアクションカードの役割で、文字だけではわかりにくいとしてピクトグラムを多用するなど、見せ方にも工夫を凝らしている。
実効性の検証にも余念がない。年に数回、町長にも知らせずに抜き打ち訓練を実施。例えば早朝6時に携帯アプリを通じて職員に参集をかけ、何分で集まれるか、来た職員が計画どおりに行動できるかを確かめる。
あるいは昼休みの抜き打ち訓練では、アプリの開封速度を確認。「12 時に緊急メッセージを発信し、最初の10分間の開封人数より次の10分間の開封人数が減っていたら、拡散が弱いということ。自分が開封するだけでなくヨコに伝えて連携を取ってほしい」。こうした改善点を、今石氏は訓練のつど厳しく指摘する。
自身は、阿蘇や天草などの観光名所にまだ行ったことがないという。「行ってみたいけれど、天草であれば益城から3時間。もし地震が起こったら初動が遅れます。危機管理に関しては、責任をまっとうしたい」と力を込める。
益城町
熊本市の東に隣接。北部は益城台地と呼ばれる畑地、中央平坦部は水田と都市近郊型の住宅地帯が広がる。主な川は木山川、赤井川、秋津川、金山川など。総面積6568ヘクタール、長さ東西約11キロ、南北約13キロ、周囲約48キロ。人口約3万3000人。西村博則町長。
https://www.risktaisaku.com/feature/bcp-lreaders
事例から学ぶの他の記事
おすすめ記事
-
-
備蓄燃料のシェアリングサービスを本格化
飲料水や食料は備蓄が進み、災害時に比較的早く支援の手が入るようになりました。しかし電気はどうでしょうか。特に中堅・中小企業はコストや場所の制約から、非常用電源・燃料の備蓄が難しい状況にあります。防災・BCPトータル支援のレジリエンスラボは2025年度、非常用発電機の燃料を企業間で補い合う備蓄シェアリングサービスを本格化します。
2025/04/27
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方