2020/07/20
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
フローチャートでとるべき行動をわかりやすく
その際、避難を判断しやすいようフローチャートもあります。

そして、万が一逃げ遅れた場合のことまで書かれているのも、初めて見たかもの項目なので画期的です。「区では東京都や独立行政法人都市再生機構(UR)、東京都住宅供給公社(JKK)と協定や覚書を締結しているため、共有部分に緊急避難をすることもできます」という部分は、重要情報です。

さらに、YouTubeの解説動画も作成されています。
こんな具合に、かなり想いをこめて作成されたハザードマップとお見受けいたしました!ですので、作成にかかわった葛飾区役所 地域振興部 危機管理課 災害対策係 大田聖家(おおたせいや)氏にお話しを伺いました。長くなりますが、熱い想いを感じていただくために掲載します♪
また、洪水に備えた避難というと、雨風が強いなか、近くの小中学校に避難をする、というイメージが強いですが、必ずしもそうではありません。
1階にお住まいの要配慮者の方は、近くの小中学校に避難をするのも良いかもしれません。ただ、浸水しない階層にお住まいの場合には、浸水への備えを十分にした上で、自宅に留まることも、避難行動の選択肢の1つです。
移動に問題がない方は、浸水をしない安全な地域まで避難をするのが、最も望ましい避難行動です。浸水しない階層にお住まいだからといって、河川が氾濫して1週間以上浸水が解消しない場合に、自宅に留まり続けると、生命の危険があります。浸水した地域の孤立者の救助を早期に完了させるためでもあります。
また、葛飾区が洪水によって浸水するのは、台風が接近している暴風雨時のときではないかもしれません。河川上流部で降り注いだ豪雨が、下流部の葛飾区まで流れてくるのには時間がかかりますし、上流部で洪水が起こり、氾濫水が葛飾区に到達するのにも時間がかかります。
洪水からの避難は、早め早めの避難行動が原則ですが、台風が過ぎ去った晴天のなか、避難をすることもあるかもしれません。
このように、洪水からの避難は様々なケースが考えられ、氾濫しそうな河川によっても避難行動は異なってきます。この難しい問題に対して、区民の方一人ひとりが、どの河川が氾濫しそうな場合には、どのような避難行動を取るのか考えて、整理できるように、必要な情報をハザードマップに盛り込みました。
できる限り、分かりやすい記載になるよう努めましたが、情報量が多過ぎて、一人で読んで全部を理解するのは難しくなってしまったかもしれません。解説の映像も作成して、YouTubeで公開もしていますが、説明会も開催をして、水害からの避難について周知を図っていきたいと思います。
危機管理課からの熱い思いは伝わったでしょうか?今後多発する水害に対応できるまちづくりには、多様な人の声が反映されることが重要になります。みなさまの地域でも行政の担当者の方と協力して、住民に寄り添うハザードマップを作成していただければと思います。
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』の他の記事
おすすめ記事
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/09/02
-
-
-
ゲリラ雷雨の捕捉率9割 民間気象会社の実力
突発的・局地的な大雨、いわゆる「ゲリラ雷雨」は今シーズン、全国で約7万8000 回発生、8月中旬がピーク。民間気象会社のウェザーニューズが7月に発表した中期予想です。同社予報センターは今年も、専任チームを編成してゲリラ雷雨をリアルタイムに観測中。予測精度はいまどこまで来ているのかを聞きました。
2025/08/24
-
スギヨ、顧客の信頼を重視し代替生産せず
2024年1月に発生した能登半島地震により、大きな被害を受けた水産練製品メーカーの株式会社スギヨ(本社:石川県七尾市)。その再建を支えたのは、同社の商品を心から愛する消費者の存在だった。全国に複数の工場があり、多くの商品について代替生産に踏み切る一方、主力商品の1つ「ビタミンちくわ」に関しては「能登で生産している」という顧客の期待を重視し、あえて現地工場の再開を待つという異例の判断を下した。結果として、消費者からの強い支持を受け、ビタミンちくわは過去最高近い売り上げを記録している。一方、BCPでは大規模な地震などが想定されていないなどの課題も明らかになった。同社では今、BCPの立て直しを進めている。
2025/08/24
-
-
-
-
ゲリラ豪雨を30分前に捕捉 万博会場で実証実験
「ゲリラ豪雨」は不確実性の高い気象現象の代表格。これを正確に捕捉しようという試みが現在、大阪・関西万博の会場で行われています。情報通信研究機構(NICT)、理化学研究所、大阪大学、防災科学技術研究所、Preferred Networks、エムティーアイの6者連携による実証実験。予測システムの仕組みと開発の経緯、実証実験の概要を聞きました。
2025/08/20
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方