2017/09/05
防災・危機管理ニュース

内閣府は8月29日、「要配慮者利用施設における避難に関する計画作成の事例集」を公表した。岩手県岩泉町のグループホームの入居者9名が死亡した2016年の台風10号被害を教訓に、老人ホームなど要配慮者施設の管理者向けに参考になるよう作成されたもの。先進的事例として岩手県久慈市の高齢者グループホーム「ひだまり」と岡山県備前市の盲養護老人ホーム・特別養護老人ホームである「備前多聞荘」の避難計画が取り上げられた。
ひだまりは2017年時点で入所者数は9名。中小河川に隣接しており、氾濫時には1~2m未満の浸水が想定されている。備前多聞荘は60名で、土石流の土砂災害警戒区域内に位置する。
ハザードマップなどで周辺の状況を把握し、行政から出される避難情報の発表後にどういう経路でどの程度の時間避難にかかるかといった計画を策定。ひだまりでは距離は長くなるが通行止めとなる可能性が低い経路を使用。日中なら約36分、夜間なら約50分で避難完了する。備前多聞荘では立退き避難の経路は1つしかなく、行った場合約82分かかるという。岡山県の砂防担当部局や専門家の意見を聞いたうえで、屋内安全確保を基本とした対策としている。
■ニュースリリースはこちら
http://www.bousai.go.jp/kohou/oshirase/pdf/20170829_02kisya.pdf
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/09/02
-
-
-
ゲリラ雷雨の捕捉率9割 民間気象会社の実力
突発的・局地的な大雨、いわゆる「ゲリラ雷雨」は今シーズン、全国で約7万8000 回発生、8月中旬がピーク。民間気象会社のウェザーニューズが7月に発表した中期予想です。同社予報センターは今年も、専任チームを編成してゲリラ雷雨をリアルタイムに観測中。予測精度はいまどこまで来ているのかを聞きました。
2025/08/24
-
スギヨ、顧客の信頼を重視し代替生産せず
2024年1月に発生した能登半島地震により、大きな被害を受けた水産練製品メーカーの株式会社スギヨ(本社:石川県七尾市)。その再建を支えたのは、同社の商品を心から愛する消費者の存在だった。全国に複数の工場があり、多くの商品について代替生産に踏み切る一方、主力商品の1つ「ビタミンちくわ」に関しては「能登で生産している」という顧客の期待を重視し、あえて現地工場の再開を待つという異例の判断を下した。結果として、消費者からの強い支持を受け、ビタミンちくわは過去最高近い売り上げを記録している。一方、BCPでは大規模な地震などが想定されていないなどの課題も明らかになった。同社では今、BCPの立て直しを進めている。
2025/08/24
-
-
-
-
ゲリラ豪雨を30分前に捕捉 万博会場で実証実験
「ゲリラ豪雨」は不確実性の高い気象現象の代表格。これを正確に捕捉しようという試みが現在、大阪・関西万博の会場で行われています。情報通信研究機構(NICT)、理化学研究所、大阪大学、防災科学技術研究所、Preferred Networks、エムティーアイの6者連携による実証実験。予測システムの仕組みと開発の経緯、実証実験の概要を聞きました。
2025/08/20
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方