2020/08/04
2020年8月号 豪雨対応
コロナと共存する「転禍為福のBCP」とは?

新型コロナウイルスの影響は、企業の生産現場だけでなく、国境を越えたグローバルサプライチェーン全体に及んだ。供給の途絶だけでなく需要そのものが落ち込み、出口の見えない厳しい状況が続く。このような中で、企業はどのような戦略で事業を継続すればいいのか。6 月30 日に開催した危機管理カンファレンス基調講演で、「転禍為福」(禍転じて福と為す)BCP のあり方について、名古屋工業大学教授の渡辺研司氏が講演した。
※本文中のpointは、講演内容をもとに編集部で加筆したもの
https://www.risktaisaku.com/feature/bcp-lreaders
新型コロナウイルスとの共存を見据えたBCPは、地震や台風、風水害の場合とは少し異なる。共存とは「付かず離れず」。普段、ちょっと気にしながら、何かが起こるとそれに対して構えて対応するような状態ともいえる。そのような状態において、サプライチェーンやグローバル戦略への影響を考えてみたい。
まず、グローバルな視点での影響を考えると、各国で新型コロナウイルス感染症が発生したタイミングやレベルは違う。それぞれの事案対応や事情もあり、世界同時多発のようで時間差もある。状況は変化し続けており、先が見えていない。
スペイン風邪から約100 年ぶりの世界的な感染症の拡大事案ということになるが、その原因となった大きな要素が、皮肉にもわれわれの近代社会が生み出した国際間の長距離かつ高速の人流・物流である。各国の対応は大統領や首相の判断、政策などの「打ち手」によって異なり、制限の緩和も国レベル、都市レベルで異なる。それに伴い第2波、第3 波が出てくるため収束時期が見えていない。
自然災害は地理的に被害が拡大するが、感染症は世界中、広範囲に同時多発し、地域間の繋がりで影響が呼応し合う。こっちが上がるとこっちが下がる、という形で継続して拡大している。
電気や水道、通信といったインフラは自然災害と違い、通常通り稼働している。しかし、その裏にはそれを支える事業者が存在し、感染リスクがあるにも関わらず業務を継続しているという事情がある。特に医療分野は、ある意味で災害対応業務と言えると思うが、医療行為者自身も感染するリスクがある中で、医療崩壊の場面が多々見られたのが特徴となった。
2020年8月号 豪雨対応の他の記事
- 【風水害の被災経験を生かす】西日本豪雨を乗り越えた珠玉の日本酒
- 【令和元年東日本台風から1年】予期せぬ堤防決壊 「地の利」を味方に迅速対応
- 日本企業のリスクマネジメントは機能したか?
- きのこの「ホクト」、獺祭の「旭酒造」の、まさかの被災経験
- コロナと共存する「転禍為福のBCP」とは?変化を見逃さず柔軟に危機対応、転換も恐れず
おすすめ記事
-
ランサムウェアの脅威、地域新聞を直撃
地域新聞「長野日報」を発行する長野日報社(長野県諏訪市、村上智仙代表取締役社長)は、2023年12月にランサムウェアに感染した。ウイルスは紙面作成システム用のサーバーとそのネットワークに含まれるパソコンに拡大。当初より「金銭的な取引」には応じず、全面的な復旧まで2カ月を要した。ページを半減するなど特別体制でなんとか新聞の発行は維持できたが、被害額は数千万に上った。
2025/07/10
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/07/08
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/07/05
-
-
-
-
-
-
「ビジネスイネーブラー」へ進化するセキュリティ組織
昨年、累計出品数が40億を突破し、流通取引総額が1兆円を超えたフリマアプリ「メルカリ」。オンラインサービス上では日々膨大な数の取引が行われています。顧客の利便性や従業員の生産性を落とさず、安全と信頼を高めるセキュリティ戦略について、執行役員CISOの市原尚久氏に聞きました。
2025/06/29
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方