2014/01/25
誌面情報 vol41
□都道府県知事が外出自粛・施設使用制限の要請・指示
緊急事態宣言は、政府対策本部長(総理大臣)が「対象区域(都道府県単位など)、期間、措置の内容」を発出するが、実際の要請・指示は対象区域の都道府県知事が行う。この緊急事態措置がどのように発動されるかが、自治体及び企業にとって大きな関心事となろう。
特に社会的に影響が大きい施設使用制限については、施設を3つに区分し、感染リスク等に応じて施設使用の運用を変えることが想定されている。まず、感染リスクが高い施設(学校、保育所、社会福祉施設等)は、早い段階で施設使用制限を行うことが推奨されるが、それ以外の施設については施設使用制限以外の措置(入場者整理や手指消毒等)を要請することが想定されている。施設管理者が施設使用制限以外の公衆衛生措置に応じない場合は、都道府県知事が必要に応じて施設使用制限の要請を行う。また、社会生活を維持するうえで必要な施設については、施設使用制限の対象外とされる。一般の事業者の事業所(オフィス)施設使用は、制限の対象外となるため、国内感染期においても、自社のオフィスが行政により閉鎖等の措置が講じられることはない。ただし、施設使用制限以外の措置(発熱者の出社自粛や職場内での感染予防策等)は、あらかじめ検討・計画することが望まれる。
緊急事態措置の運用については、科学的根拠に基づいた措置とするよう、注視していく必要がある。
特に、施設使用制限の対象となり得る事業者(劇場、映画館、百貨店、学習塾等)については、当該都道府県において想定されている運用について、あらかじめ情報収集・情報交換したうえで、自社の計画を策定する必要がある。各事業者の、計画に際しては、施設使用制限以外の措置(発熱者の入場自粛要請や入場者数の制限、入場者への手指消毒の呼びかけ等)をとることを計画することが基本となる。
新型インフルエンザ等対策有識者会議では、施設使用制限等は慎重に運用されることが必要であること、ただし病原性の強い新感染症などが発生した場合は制限できることが必要であること、などが議論されている。
地方自治体及び事業者に求められる対応
□自治体が実施すべきこと
特措法では、すべての都道府県、市町村に「新型インフルエンザ等対策行動計画」を策定すること、また、計画に基づいて訓練することが義務付けられている。
現時点(2014年1月)で半数程度の都道府県がすでに行動計画を策定し、体制を整備しているが、多くの市町村は今後都道府県の計画を踏まえつつ、自組織の行動計画等を策定することが求められる。
2009年の反省として、対策の実施については、科学的根拠を明確にすることが求められた。国では、専門家諮問委員会を設置し、平時には行動計画の策定の際に、緊急時には基本的対処方針を策定する際に、専門家の意見を聴くこととされている。この仕組みは国のみでなく、都道府県・市町村にも求められており、行動計画策定や対策本部の決定に際して、専門家の意見を聴くことが求められている。
都道府県・市町村では感染症専門家の層が薄い。各地域の医師会等の臨床関係者に協力を得ながら、適宜、国レベルの専門家による研修等を行うことなど、専門家の育成が急務であろう。
誌面情報 vol41の他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月23日配信アーカイブ】
【4月23日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:南海トラフ地震臨時情報を想定した訓練手法
2024/04/23
-
-
-
2023年防災・BCP・リスクマネジメント事例集【永久保存版】
リスク対策.comは、PDF媒体「月刊BCPリーダーズ」2023年1月号~12月号に掲載した企業事例記事を抜粋し、テーマ別にまとめました。合計16社の取り組みを読むことができます。さまざまな業種・規模の企業事例は、防災・BCP、リスクマネジメントの実践イメージをつかむうえで有効。自社の学びや振り返り、改善にお役立てください。
2024/04/22
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月16日配信アーカイブ】
【4月16日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:熊本地震におけるBCP
2024/04/16
-
調達先の分散化で製造停止を回避
2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町。オフィス家具を製造するホリグチは真備町内でも高台に立地するため、工場と事務所は無事だった。しかし通信と物流がストップ。事業を続けるため工夫を重ねた。その後、被災経験から保険を見直し、調達先も分散化。おかげで2023年5月には調達先で事故が起き仕入れがストップするも、代替先からの仕入れで解決した。
2024/04/16
-
工場が吹き飛ぶ爆発被害からの再起動
2018年の西日本豪雨で隣接するアルミ工場が爆発し、施設の一部が吹き飛ぶなど壊滅的な被害を受けた川上鉄工所。新たな設備の調達に苦労するも、8カ月後に工場の再稼働を果たす。その後、BCPの策定に取り組んだ。事業継続で最大の障害は金属の加温設備。浸水したら工場はストップする。同社は対策に動き出している。
2024/04/15
-
動きやすい対策本部のディテールを随所に
1971年にから、、50年以上にわたり首都圏の流通を支えてきた東京流通センター。物流の要としての機能だけではなく、オフィスビルやイベントホールも備える。2017年、2023年には免震装置を導入した最新の物流ビルを竣工。同社は防災対策だけではなく、BCMにも力を入れている。
2024/04/12
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方