協定データベースの構築など

自治体でも協定の締結や管理の方法について、見直しの動きが始まっている。ポイントは災害時に協定に基づく対応がいかに機能するか──。
静岡県と新潟県における取り組みを取材した。

南海トラフ巨大地震への対策を進めている静岡県では、自治体・民間事業者を合わせて338件の災害時応援協定を締結している。このうち民間事業者との協定は308件を占める。これらの協定がいつでも確実に履行できるよう、県では、年1回は協定先事業者の担当者や連絡先を確認することにしている。しかし、実際に協定を管理しているのは所管課で、具体的な協定の内容や更新情報はこれまで県全体では共有ができていなかった。危機管理部がすべての協定を把握しているわけではなく「中には関係が疎遠化して、協定内容がアップデートできていないものもあるかもしれない」と危機政策課調整班の渡邉裕之氏は懸念する。 



そこで、県では昨年度から、協定の内容をすべてデータベース化することを決定。これまでに3割ほどの入力を終えた。データベース化により「古い協定書類を引っ張り出して、内容を確認するような作業は大幅に改善される。これまでアップデートできていなかった協定についても見直すきっかけになる」と渡邉氏は語る。 

協定の締結状況が全庁的に共有されるようになれば、ある課が締結している協定内容を、別の課の協定の段取りに生かすなどの活用もできる。データは、県のイントラネット上で管理しているため、災害時にも、即座に連絡先を調べられるなどのメリットもある。 

国も現在、災害時応援協定等のデータベース構築に取り組んでいるが、同課調整班班長の櫻井克俊氏は「国内自治体が、他の自治体、または民間事業者等と締結している協定状況がデータベース化されれば、有事だけでなく平時における協定の管理においても利便性が向上する」と期待する。