2014/01/25
誌面情報 vol41
東日本大震災では、東京湾岸にそびえる超高層マンションに代表されるように、かねてから問題視されていた、いわゆる“高層難民”が現実のものとなった。長周期振動による横揺れが激しく、家財が暴れだし、エレベーターが停止したタワーマンションは、地上に降りるだけでも難儀で、自宅まで階段を上るのは1回がやっとというエピソードも聞く。半面、分譲マンションの管理組合が、帰宅困難者に共用部を開放して喜ばれたという話もある。こうした中で、行政やマンションデベロッパーが担えないでいる、自助や共助によるマンション力を強化し、災害時における生活継続の実現を図ろうと取り組んでいるマンション支援組織を紹介する。
ビジネスにおける事業継続の重要性が叫ばれるように、災害時におけるマンション生活の継続を実現するため、マンション管理組合に対する具体的な支援や社会への啓発活動を目的とした民間団体が昨年3月に設立された。一般社団法人マンションライフ継続支援協会(Mansion Life Continuity Association=MALCA、三橋博巳理事長、事務局・東京都千代田区)がそれだ。
MALCAは、東日本大震災後の2012年1月~2012年2月にわたり、有志が集まって開催した12回の研究会がさきがけ。参集したのは、マンション居住者、管理組合、管理会社、自治体、警察、消防、学識経験者、報道関係者ら。「東日本大震災の際のマンションの被災状況と被災時の生活継続の在り方など」をテーマに話し合った。その中で集約された考え方は、概ね次のように整理されて、MALCAが設立されることとなった。
マンション住民は“在宅難民”の覚悟を
今後30年で首都直下地震が発生する確率は70%と言われている。都内の住まい方は集合住宅のウエイトが6割と高い。賃貸住宅ならまだしも、分譲マンションの居住者は、管理組合の組合員や当事者として考えて取り組む必要がある。
首都直下地震のような大地震が起きた場合には、避難所の不足が予想される。この際、自宅が低層木造住宅等で被災した人たちの方が、マンション居住者より優先されるかもしれない。マンションの方が、戸建て住宅に比べて耐震性や耐火性能が高く、ライフラインが途絶えたとしても、居住スペースの確保に関しては問題がないことによる。
大震災が発生したら、ライフラインが1週間は途絶え、被災生活を余儀なくされる“在宅避難”の覚悟が必要。この間どう凌いで生活するかの対処法を学び、事前対策を行う必要がある。
管理会社、行政機関は、災害時の自立的な生活を担保する存在とはなっていない。しかしながら、管理組合にもそれを自助で担保できるノウハウが少ない。このため、管理会社や行政機関に対応できない防災対策のノウハウをサポートする中間的支援組織が必要である。
そこでMALCAでは、MLCP(Mansion Life Continuity Plan=マンション生活継続計画)の作成とコミュニティづくり、並びに地域との相互連携や行政機関との協働による地域防災力の強化やエネルギー確保のための仕組みづくりなどをサポートする。
前記のような支援活動を実施したり担保するためには、専門家が必要であり、そうした人材を育成するためにMLCPプランナー制度を創設する。
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