2017/09/27
防災・危機管理ニュース
一般社団法人日本医療資源開発促進機構(会長:山本保博)は15日、東京大学と共催で「都市防災と災害医療を考える東京大学とコラボフォーラム」を開催した。基調講演では東京大学地震研究所教授(防災科学技術研究所首都圏レジリエンス研究センター長)の平田直氏がと東洋大学情報連携学部学部長の坂村健氏が、それぞれ「迫りくる巨大地震に備えて」「IoT+AIで社会はどう変わるか」と題した講演を行った。
平田氏は、首都直下地震が発生した場合、死者最大2万3千人、負傷者は最大12万3千人、避難者は発災2週間後で最大720万人に達し、経済号的な被害は資産への被害と経済活動への影響を併せ95.3兆円にのぼるという内閣府中央防災会議の想定を紹介。「現在の地震学に必要なのは、地下だけを研究するのではなく地表、建物、人へ向いていかなければいけない」と地震学の方向性を示した。そして地域の防災力の向上には、既存の地震観測網だけでは不十分で、「ガス会社やエレベータ会社、輸送企業などの民間企業が保有するデータをフル活用しなければいけない」とし、首都圏レジリエンス向上のための官民連携したデータ活用の重要性を強調した。
次に登壇した坂村氏は、まず中国で急激に伸びるシェアリング×IoTの事例として、GPS(全地球測位システム)とWAN(広範囲のネットワーク)を搭載し、遠隔管理可能なシェアリング自転車「mobike(モバイク)」を紹介。「『mobike』はスマートホンのGPSで近くにある自転車を探し、QRコードでスマホ決済。おまけにどこに乗り捨ててもいいというサービス。現在急激に伸びているサービスで、100社近い会社が参入している。どのくらい急成長したかというと、『mobike』は昨年ローンチした会社だがすでに500万台の貸し自転車を保有。一日の利用者数がピークで2500万人というすさまじい数に上っている。市とも協力し、もちろん盗まれることもあるのだが、経営者は『1万台盗まれても3万台投入する』と強気だ」と話す。同氏は「IoT+ビッグデータ+オープンデータ+AIの時代に、人間がそれらのテクノロジーとどう向き合っていくかが重要になる」とし、それを実践するために開校した東洋大学情報連携学部を紹介。「環境のすべてがIoTの教材ともなる校舎で、生徒にはプログラミングとコミュニケーションを必修科目とし、高い専門性を持ちながらチームを作って連携する人材を育てる」と意気込みを語った。
日本医療資源開発促進機構が主催する「都市防災と集団災害医療フォーラム」は次回、12月15日に開催予定。
(了)
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
過疎高齢化地域の古い家屋の倒壊をどう防ぐか
能登半島地震の死者のほとんどは、倒壊した建物の下敷きになって命を落とした。珠洲市や輪島市の耐震化率は50%程度と、全国平均の87%に比べ極端に低い。過疎高齢化地域の耐震改修がいかに困難かを物語る。倒壊からどう命を守るのか。伝統的建築物の構造計算適合性判定に長年携わってきた実務者に、古い家の耐震化をめぐる課題を聞いた。
2024/03/28
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年3月26日配信アーカイブ】
【3月26日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:四半期ニュース振り返り
2024/03/26
-
-
-
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年3月19日配信アーカイブ】
【3月19日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:副業・兼業のリスク
2024/03/19
-
リスク担当者も押さえておきたいサイバーセキュリティ対策の最新動向
本勉強会では、クラウド対応のサイバーセキュリティ対策の動向を、簡単にわかりやすく具体的なソリューションの内容を交えながら解説します。2024年3月8日開催。
2024/03/18
-
発災20分で対策本部をスタートする初動体制
総合スーパーやショッピングモールなど全国各地のイオン系列の施設を中心に設備管理、警備、清掃をはじめとしたファシリティマネジメント事業を展開するイオンディライト(東京都千代田区、濵田和成社長)。元日に発生した能登半島地震では、発災から20分後にオンラインの本社災害対策本部を立ち上げ、翌2日は現地に応援部隊を派遣し、被害状況の把握と復旧活動の支援を開始しました。
2024/03/18
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方