2017/10/10
防災・危機管理ニュース
文部科学省が中心となっている政府の地震調査研究推進本部は6日、「新総合基本施策レビューに関する小委員会」の第5回会合を開催。現行の地震調査研究の原則となっている「新総合基本施策」における活断層の調査研究や工学・社会科学研究との連携についての実績のほか今後の方向性について話し合われた。
現・総合基本施策である「新総合基本施策」は2009年に策定。2011年の東日本大震災を経て、2012年に改訂された。2012年の改訂では主に海域での津波観測に注力する旨が付加された。次期総合基本施策は2018年度に取りまとめ、2019年度から適用する。このため現・総合基本施策で取り組むべきとされた各分野について、実績の精査や今後の課題発見を行っている。
活断層研究については実績として九州、関東、中国の3地域で地域評価を実施。都道府県による活断層長期評価の活用状況では地域防災計画の策定に46.7%がすでに利用し、16.7%が今後活用予定、住民向けの広報・啓発には50.0%がすでに利用、20.0%が今後活用予定となっている。
今後の論点として、地域評価を3地域以外でも加速させるほか、評価手法の改良、活断層評価で得られた情報の活用などが挙げられた。出席した委員からは「民間の力も借り、コストパフォーマンスのいい調査を進めるべき」「中部や近畿には活断層が多いとされているが、ここは東海道新幹線や東名高速道路が走る以外にリニア中央新幹線の計画もある。社会的背景も考慮して進めるべきだ」といった意見が出された。
工学・社会科学研究との連携では防災科学技術研究所が中心となって進めている「首都圏を中心としたレジリエンス総合力向上プロジェクト」の取り組みや、兵庫県三木市にある実物大の造物を実際に破壊し、検証できる防災科研の「E-ディフェンス」のハウスメーカーなど外部組織による利用増加などが挙げられた。委員からは「地震調査研究にもっと工学は活用できる」「研究の社会実装についてどこまでやるべきか明らかにすべき」といった意見が出された。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
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