一時滞在施設の管理者免責については都の積極的な役割を期待する意見も出された

東京都は16日、「今後の帰宅困難者対策に関する検討会議」の第2回会合を開催。「帰宅困難者対策の取組の方向性について」の骨子案を提示した。首都直下地震が起こった場合、都内だけで約517万人出ると予測されている帰宅困難者対策の基本的な考え方として共助の意識を根づかせるほか、今後の課題としては一時滞在施設の管理者への免責、要配慮者の優先などが挙げられた。

骨子案では基本的な考え方と今後の課題に分類。基本的な考え方では共助である「助け合い」の意識を根づかせ、帰宅困難者への対応を一時滞在施設の確保を基本とする。そして帰宅困難者や事業者による「助け合い」を通じ、安全を図ること、高齢者や障害者、乳幼児、外国人など要配慮者への環境整備を挙げた。

今後の取組への課題としては、一時滞在施設の確保に向け、地元区市町村と帰宅困難者受け入れ協定を結んでいない施設への受け入れ呼びかけ、帰宅困難者の受け入れ時に帰宅困難者にけがなど被害があった場合の一時滞在施設の管理者への免責の仕組みづくり、要配慮者を優先した一時滞在施設へ受け入れなどが挙げられた。

出席した委員からは施設管理者免責について「けがをした人がどこにも賠償を請求できないのはよくない。国や地方自治体が責任を負う方法を検討すべき」「都も受け入れ協力を呼びかけている以上、都が責任を負うことを考えてもいいのでは」「一時滞在施設を同様の機能を持つ都立施設と同類とみなし、都が責任について条例で定めるべきでは」といった意見も出された。都は国に法改正での対処を求める方針。

また区市町村と協定を結んでいない施設については、結んでいなくても受け入れに前向きな施設のリスト化や、事業者向けの勉強会など啓発の重要性、要配慮者については一時滞在施設への入所できる人の優先順位を明確にすべきといった意見も出された。

都では東京都宗教連盟と都内約4000カ所の宗教施設での帰宅困難者受け入れを目指し協議を進める方針。この日都が提示した資料によると、延床面積2000m2以上の宗教施設で一時滞在施設の協定を結んでいるのは11%にあたる28施設であることがわかった。都内大学で協定を締結済みなのは19%にあたる30施設にとどまっている。

都では年内に次回会合を開催し、帰宅困難者対策の取組の方向性について報告案をまとめる予定。

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(了)

リスク対策.com:斯波 祐介