2017/10/17
防災・危機管理ニュース
文部科学省を中心とした政府の地震調査研究推進本部は16日、調査観測計画部会の第80回会合を開催した。2016年の熊本地震をふまえた活断層調査の成果や高知県沖から日向灘にかけての南海トラフ西側での海底地震・津波観測システムの整備についての中間とりまとめ、津波予測について報告が行われた。
活断層調査は九州大学大学院理学研究院の清水洋教授が研究代表者として行ったもの。地震の原因とされている布田川断層帯と日奈久断層帯のうち布田川断層帯の高野―白旗区間にある甲佐町白旗山出と日奈久断層帯の宇城市南部田の陸地2カ所でトレンチ調査を、日奈久断層帯の海の部分である八代海津奈木沖でボーリング調査を行った。
調査ではこれまで考えられていたよりも高頻度で地震が起こっていたのではないかということと、平均活動間隔は2000~3000年程度ではないかということ、布田川断層帯と日奈久断層帯の南部田までは1つの断層ブロックとみてよいのではという仮説が出されたことを明らかにした。
南海トラフ西側の観測網については検討ワーキンググループで出された1.インライン・ノードハイブリッド方式2.インライン・ノード分離方式(全域一体型)3.インライン・ノード分離方式(領域分割型)の3つの案から将来選択することが報告された。
インライン型は地震計や津波計といった観測機器を直接光海底ケーブルにつなぐ方式。ノード型は光海底ケーブルをループ状に設置し、ノードと呼ばれる水中脱着コネクターを備えた中継装置に各種計器をつなぐ。ノード型は計器の組み合わせの自由度が高いのが特徴。インライン・ノード分離方式の全域一体型はインライン型を全域に、ノード型を必要な箇所に敷設する。領域分割型はインライン型を浅部と深部に、ノード型を中間部に敷設する。全域一致型はインライン型、領域分割型はノード型が中心。
津波予測については気象庁が津波報告の現状を、防災科学技術研究所が北海道から関東の太平洋沖に設置のS-net、紀伊半島や四国東部沖に設置のDONET1、2について報告した。今年度末に完成するS-netは地震動で最大30秒程度、津波は最大20分程度従来よりも早く検知。DONETは和歌山県や三重県、中部電力への津波情報提供にも役立っているほか、今後JR東海・西日本の新幹線停止に地震の検知情報を活用する予定。
東京大学地震研究所の前田拓人助教授は、地震動で初期波源を推定するのではなく、数値シミュレーションと観測網の記録を同化させ、現在時刻の津波波動場そのものを直接推定する「津波データ同化法」を紹介した。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
- keyword
- 南海トラフ
- 南海トラフ地震
- 文科省
- 地震調査研究推進本部
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2026/08/05
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/08/04
-
-
-
-
令和8年熊本地震 猛暑の被災地で熱中症を避ける
最大震度7を記録した令和8年熊本地震。熊本県内では400超の避難所が開設され、約9千人が避難している(29日時点)。真夏の避難生活は、熱中症の危険性を確実に高める。しかもこれからは、猛暑・酷暑下での復旧活動が本格化し、多くの人々が被災地で活動する。現地で熱中症をどう防いだらいいか。熱中症と災害医療に詳しい、さいたま赤十字病院高度救命救急センターの席 望医師に対策を聞いた。
2026/07/30
-
令和8年熊本地震 広がるデマ、どう見分ける?SNSとの向き合い方
28日に発生した最大震度7を記録した熊本地震では、早くも豪華寝台列車「ななつ星」が脱線したなどのデマ情報が広く拡散された。災害のたびに、広くSNSで拡散される情報にどう向き合えばいいか。デジタル空間の情報分析を専門とする Japan Nexus Intelligence の竜口七彩氏に聞いた。
2026/07/29
-
-
事例研究で有事に備え、組織の体質改善で形骸化を防ぐ
組織レジリエンスの強化やサイバーセキュリティーの向上、サプライチェーンの強靭化など、危機管理やリスク管理担当者が関与する領域は年々拡大している。変化する社会状況にあわせ、担当者はどのように学び、備え、対応することが求められるのか。森総合研究所代表の森健さんは、自治体と企業で危機管理担当者としての経験を積み、現在はコンサルタントとして、企業や団体の危機管理の支援を手がけている。自身の経験を踏まえ、危機管理の担当者にどうアドバイスしているのか、話を聞いた。
2026/07/27
-






※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方